冬ボーナスで叶える初ヴィンテージ腕時計。20代がいま手に入れるべき3本とは?
時計マニアが集まるFIRE KIDSのスタッフが、ヴィンテージ時計の魅力を伝えるYouTubeコーナー。毎回異なるテーマで、厳選されたモデルをご紹介する。
冬のボーナスが待ち遠しい季節。頑張った自分へのご褒美に、“一生モノの腕時計”を手に入れたいと考えている人も多いのではないだろうか。今回は、ヴィンテージ腕時計専門店FIRE KIDSのスタッフ・松浦、西川、三好の3名が「20代の冬ボーナスで買うならこの3本」をテーマに選んだ珠玉のヴィンテージを紹介する。名デザイナー・ジェラルド・ジェンタの名作から、王道のロレックス、そして通好みのモバードまで、それぞれの推しポイントとともにお届けする。
オメガ『コンステレーション』ボーナス感あふれるゴールドの輝き
最初に登場したのは、三好が選んだオメガ『コンステレーション ジェンタ前期型トップゴールドケース 1969年製 自動巻クロノメーターリネンダイヤル Ref.168.029』。世界的デザイナー、ジェラルド・ジェンタ氏のデザインで、当時のオメガ最高級ライン『コンステレーション』の中でもハイグレードなモデルだ。

「ボーナスの中で買える価格帯を意識して選びました。ゴールドのケースにコインエッジベゼル、そしてリネンダイヤルの文字盤もすべてゴールドトーンで景気が良い感じです」(三好)
「ボーナス感がめっちゃある!」(西川)
このモデルは金張りケースのため、金無垢のように重たくなりすぎず、日常使いにも馴染みやすい。松浦も「金張りというところが気軽にファッション優先で楽しめる」と語る。
ムーブメントに搭載されたクロノメーターはCal.751。カレンダー早送り機能を備えた実用性の高い自動巻きムーブメントで、ヴィンテージ腕時計としての信頼性も十分。
「ジェンタがデザインした時計というだけで、今やどれも高騰しています。そんな中で29万8000円で手に入るジェンタデザインの時計は、ほぼ無いと思います」(三好)
ジェラルド・ジェンタ氏がデザインした腕時計といえば、オーデマ・ピゲの『ロイヤルオーク』やパテック・フィリップの『ノーチラス』など、時計史を変えたデザイナーだ。
「たまには羽目を外したっていいじゃない」という三好の言葉通り、20代の記念に選ぶ一本として非常におすすめしたい名品。
ロレックス『オイスターパーペチュアルデイト』王道の中の渋み
続いて、西川が選んだのはロレックスの『オイスターパーペチュアルデイト 1970年製 Ref.1501 シルバーダイヤル』。クラシックなシルバーダイヤルに、特徴的なエンジンターンドベゼルを備えた一本だ。価格は59万8000円。

「20代で初めての良い時計を買うなら、やっぱりロレックス。変化球を覚える前に、まずはストレートを磨くべきだと思っています」(西川)
その言葉に、松浦も思わず「確かに、ストライクゾーンど真ん中だね」と頷く。現行モデルにはないエンジンターンドベゼルは、見る角度によって輝きが変化し、ヴィンテージならではの深みを生む。
「王道のロレックスだけど、実はやっていることは全然王道じゃない。渋い選択ですよね」(三好)
ムーブメントは名機Cal.1570を搭載し、クロノメーター認定付き。精度・耐久性ともに、今でも十分通用する完成度を誇る。
「ボーナスでロレックスを買って、『聞いちゃう? ロレックス買っちゃったんだよね』って飲み屋で話す瞬間を想像してほしい(笑)」(西川)
時計好きの第一歩として、ヴィンテージロレックスを最初の一本に選ぶ道もある。「俺も20代でFIRE KIDSみたいな店に行きたかった」と語る西川の言葉には、時代を超えても変わらないロレックスの魔力が滲んでいる。
モバード『ミュージアムウォッチ』美術館が認めたデザインで周りと差別化
最後に松浦が紹介したのは、やや異色の存在であるモバードの『ミュージアム ウォッチ ラウンドケース 1980年代製 手巻 Cal.2562C』。シンプルなブラックダイヤルの12時位置に、象徴的なドットを配したデザインで知られる名作だ。価格は19万8000円。

「ボーナス全振りで買う人は多くないと思うんですが、ファッション性を重視したい人にはモバードをおすすめします。モード感があって、デザイン性も高い。しかもこのデザインは美術館にも展示されているほど世界的に評価されています」(松浦)
「これが一本目ってすごく良いですね」(西川)
モバードは現在こそ静かな存在だが、かつてはスイス時計界をリードしていた名門ブランド。このモデルが誕生した1960年代当時、デザイナーのネイサン・ジョージ・ホーウィットによるミニマルなデザインは革新的で、ニューヨーク近代美術館(MoMA)の永久コレクションにも選定された。
「ボーナスでモバードを買いに行きました、って言われたらドキッとしますね。洒落てる!」(西川)
現代のトレンドでも、インデックスがない文字盤やオニキスを思わせる黒地のデザインが再び注目されている。そんな中で、ヴィンテージのミュージアムウォッチを手巻きムーブメントで楽しむのは、通な選択とも言える。
松浦が「ロレックスやオメガが注目されがちだけど、モバードにも光を当てたい」と語るように、知る人ぞ知る一本を選ぶ楽しさも味わってほしい。
金色に輝くオメガで気持ちを高めるのも良し、ロレックスで王道を極めるのも良し、モバードで個性を表現するのも良し。どれも20代のボーナスで無理なく手が届き、それでいて長く付き合える一生モノだ。
冬のボーナスは、一瞬で消えてしまうものに使うより、自分の時間を豊かにしてくれるものに使いたい。若い世代の人生において、かけがえのないパートナーとなり、その後の人生観や価値観にまで影響を与えるヴィンテージ腕時計はいかがだろうか。
20代の冬ボーナスで叶える“初ヴィンテージ”|購入前によくある質問
初めての一本をヴィンテージで選ぶときは、予算の目安や失敗しない見方、維持費などが気になるところ。ここでは20代×初めて×ボーナス購入の読者から寄せられる代表的な質問にお答えします。
Q1.20代で“最初の一本”をヴィンテージにするなら、予算はいくらが目安?
A.入門の目安はおおむね20〜60万円です。たとえば20万円前後ならモバード『ミュージアムウォッチ』のようにデザイン性で個性を出せ、30万円前後ならオメガ『コンステレーション』の金張りやリネンダイヤルで装いの格を上げられます。50〜60万円帯まで見ればロレックス『Ref.1501』で王道感と将来的な資産性のバランスが狙えます。なお“初めて”の購入では、本体代に加えて数万円のメンテナンス費もボーナス枠に見込んでおくと安心です。
Q2.初めてで失敗しないチェックポイントは?
A.失敗しないコツは5点に絞れます。手首16〜17cmなら34〜36mm、17〜18cmなら36〜38mmを目安にサイズを決め、文字盤・針・夜光の整合や過度な研磨痕の有無などコンディションを確認。革ベルトを一本用意しておけばビジネスからフォーマルまで幅広く使えます。そして何より、アフターケアを含めて信頼できる販売店でのご購入をおすすめします。
Q3.維持費と使い方のリアルは?
A.維持は3〜5年ごとのオーバーホールが基本で、一般的な機械式腕時計は3〜4万円、クロノグラフ等の複雑時計は5〜8万円が目安です。防水は過信せず、雨の日や手洗い時は外すのが鉄則。夏場は汗対策に洗えるNATOや替え革でローテーションを。箱やブレス、交換部品は保管しておくと将来のリセールでも有利です。
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