ロレックス『エクスプローラーⅠ』が“フロッグフット”と呼ばれるようになったワケ

2023.06.17
Written by 編集部

出演:野村店長×藤井(販売スタッフ)

ロレックスの“フロッグフット”とは?

 今回は、ロレックス『エクスプローラーⅠ』(1967年製 Ref.1016 フロッグフット)をフィーチャーする。

 “フロッグフット”とは何かご存知だろうか。“フロッグフット”とは、ロレックスの王冠マークの形状がカエルの足のように見えることからそう呼ばれている。現在の王冠マークは先端部分が弧を描いたように丸みを帯びたシルエットだが、“フロッグフット”は三角形のように尖った感じだ。『エクスプローラーⅡ』の初期にも“フロッグフット”のものが見られる。

 ロレックスの王冠マークは時代とともにマイナーチェンジしているが、野村店長は初期の『バブルバック』などにあしらわれていた平たいロゴが好きだという。

「(平たいロゴは)最初見た時に本当にロレックスなのかな?って思いましたね」(藤井さん)

「ちょっとパチ物っぽさが面白いよね(笑)」(野村店長)

“フロッグフット”は、売れない時計のレアポイント探しだった?

 この“フロッグフット”。発売当時からそう呼ばれていたわけではない。野村店長曰く、ここ15年くらいの話だという。“フロッグフット”が広まった理由は、売れない時計を売れるようにするため。レアポイントを探し出し、それを特徴として売り出すためだと分析する。

「前のモデルであるミラーダイヤルの値段がグンと上がった。それで普通の『エクスプローラー』を差別化するためにハック付き・ハックなしにこだわる人が多かったのだけれど、ハックなしの『エクスプローラー』は売れなかった。ハックなしに良いところはないか……と探した結果の、“フロッグフット”とだと思う」(野村店長)

 ハック付きが登場したのは1970年代に入ってから。実際に、2000年頃に圧倒的に売れていたのは後期型のハック付きだったという。少々日焼けして夜光が変色した文字盤でハックなしの前期型は売れ残っていていたようだ。そこで王冠マークのレア度に目を付け、“フロッグフット”の呼び名で広められた。野村店長は「勝手にそう思っています(笑)」と付け加える。

「ネーミングして売るのはいろんな業界でありそうですね。僕はそういう事情を知らないので、単純に『フロッグフット格好いい!』みたいな感じで良いなと思いますよ」(藤井さん)

 ミラーダイヤルでもなくハック付きでもないマットダイヤルの『サブマリーナー メーターファースト』(1960年代後半)も、モデル名よりも先にメーターが表示されているところに目を付けて“メーターファースト”と呼ぶ流れがあったのではないか語る野村店長。 “メーターファースト”もマットダイヤルの初期型にしか存在しないため、レア度は高い。

ロングセラーでマニア好みのRef.1016

「このRef.1016はマニアが多くないですか?」と藤井さんが尋ねる。

「格好良いからね。ノンデイトだし飽きがこないよね」(野村店長)

『サブマリーナー』よりも先にブレイクしたという『エクスプローラー』。スポーツロレックスのなかでは比較的スッキリとした見た目で使いやすさがある。そして、今はサイクルが短くなっているが、Ref.1016は1960年から1990年くらいまで製造された30年続いたロングセラー。ほかには、Ref.6694も同じくらいロングセラーを記録している。

「それだけ安定したラインナップで売れ続けているから廃盤にならない」(野村店長)

「ロングセラーだからこそ、いろんなバリエーションがありますよね」(藤井さん)

「ブレスもリベット巻きや革など3種類あるし、文字盤も種類がある。サークルミラーがあり普通のミラーもあり、途中からマットの“フロッグフット”があり……。バリエーションがすごく多いもんね」(野村店長)

 

藤井さん曰く、海外ではRef.1016を専門に扱ったマニアックなウェブサイトが存在しているという。

「マニア心をくすぐるんだろうね」という野村店長がこの日着けていたのは、ロレックスの『コマンドー』。文字盤に“COMMANDO”の印字があるものとないものがあり、野村店長の時計は印字なしのものだ。

「『エクスプローラー』と比較するとグレードは2つくらい下。これを自動巻きにしてクロノメーター検定を通っているのが『エクスプローラー』」(野村店長)

『エクスプローラーⅠ』はスポーツロレックスのなかではスッキリとしているとお伝えしたが、『コマンドー』と並べてみるとスポーティ感がある。12時のインデックスがトライアングルになっているところやベンツ針などがスポーティな要素だろう。

「みんな『デイトジャスト』と同じケースみたいなイメージがあるけれど、ケースが厚いのよ。裏蓋の構造も別物だし、意外とスポーティなんだよね。Ref.1016が大流行した時に『デイトジャスト』を改造した時計が出回ったけれど、パッと見てわかる。並べないとわかりづらいけれど」(野村店長)

「ロレックス『エアキング』も『エクスプローラー』のような文字盤がありますよね」(藤井さん)

「Ref.5500の『エクスプローラー』はほぼ改造品。でもリダンの針はきちんとしている。そういう部分では騙すつもりで作った感じではなく、実用を考えて作られた針なんだよね。意外と壊れないし」(野村店長)

 1990年代のスイスでは機械式時計の仕事が少なくなっていた。そのことから、きちんとした企業でもオーダーがあれば作ったのではないかと思わせるほど、改造品でも良く作られていた機械式時計が多いという。

 しかし野村店長は「堅牢さこそが『エクスプローラー』なので、本物は明らかにケースが違う」と強調する。

「これは探検者のための時計ですからね」(藤井さん)

 マニア心をくすぐる“フロッグフット”。海外では“One Zero One Six”と型番で呼ばれることもあるようだ。何か1つでもレアなポイントやこだわりを知ることで、より時計への愛着が湧く。ファイアーキッズを訪れた際には、ぜひ時計マニアなスタッフに気になる時計の特徴を聞いてみてほしい。新たな発見があるかもしれない。

>>ロレックス エクスプローラーⅠについてもっと知る

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