ROLEXの圧倒的な存在感……。造りの良さが“別格”って思えた
文=土田貴史
時計好きに「あなたの時計、見せてください」という企画。今回、時計を見せてもらったのは、TOKYO GENTSインフルエンサーの村上直樹(むらかみ・なおき)さん。当初はアンチロレックス派だったが、たまたまブティックで自分の腕にエクスプローラーⅠを載せ、圧倒的な存在感を感じたそうだ。
一番多く目に触れるものだから、モチベーションになるものがいい
「私は普段もドレスファッションなんです。そうするとApple Watchというわけにはいかず、それなりの時計が必要だよなって。しかも自分の目に多く触れるものだから、モチベーションになるものがいいです」
村上さんにとっての最初の1本は、オメガ『ダイナミック』だった。この時計は、社会人になって25、6歳の時に購入。量販店で安価に購入できたそうだ。その入手当時の気持ちを、こう振り返る。
「やっぱりテンションが上がりましたね。この時計に合った身なり、振る舞いをしようと思えましたから。しかも当時は営業職だったので、会話のきっかけにもなりました」
そして村上さんは「その後、こんなにロレックスを買うとは思わなかった」と、付け加えた。むしろアンチロレックス派で、ロレックスは誰でも持っている……そんなイメージが強かったそうだ。
「ところが、ほんとにたまたまなんですけど、フラッと百貨店のロレックスブティックに入ったら、エクスプローラーⅠが置いてあったんです。『え? 売ってるんですか』って。それで着けさせてもらったら、全然違うなと。やっぱり、いいものはいい、と」
他人が腕にする姿は何度も見てきたものの、自分の左腕に実際に載せて、改めて感じるものがあったという。
「エクスプローラーⅠなので、ただの3針。強いて言うなら3、6、9がアラビア数字になっているだけのシンプルな時計です。それなのに、圧倒的な存在感……。造りの良さが“別格”って思えたんです」
ただ、その場は持ち合わせがなく、購入には至らず。それでもこの初体験が忘れられず、後に『エクスプローラーⅠ』を手に入れた。その『エクスプローラーⅠ』に先立ち、村上さんは『オイスター・パーペチュアル』も入手。ドレススタイルがメインなので、定番顔の『オイスター・パーペチュアル』からロレックスの門を叩いたそうだ。そうやって、現在、村上さんの手元にあるロレックスは4本。
「所持本数を重ねて、このブランドに対する思いは強まりました。孤高の存在っていうんでしょうか。例えば、オーデマ・ピゲのロイヤルオーク人気にあやかり、他ブランドからは類似モデルが出ています。でもロレックスはそういうことをしない。他になびかないんです。純粋に、自分たちの美学を追求しているんだろうなって思います。
それにセカンド市場はプレミアが付いて一部高騰していますけれど、プロパー品の価格は非常に適正だと思います。もちろん足下では円安の影響がありますけれども、メーカーの値付けからは誠実なメッセージを受け取ります」
カッコいいと思うデザインを素直に身に着けるのが正解
ちなみに今後、狙っているモデルをうかがうと、
「やっぱりロレックスなんですが、デイトジャストを持っておくべきだな、と。グレー文字盤に緑のアラビア数字、41ミリケースがカッコいいなって。もしくはシンプルな白文字盤のタイプ。どちらか、いいものがあれば検討します」
『サブマリーナー』や『デイトナ』といった超人気モデルについてはどうかと問うと、現時点では今ひとつ響いていないそうだ。
「もちろんデイトナは高すぎて買えないっていうのもあります。私はかつてデイトナを初めて見たとき、こんなにカッコいい時計があるんだと思えたくらい衝撃を受けました。でも自分がもし次に買うなら、やっぱりデイトナじゃなくて、デイトジャスト。私の普段のスタイルには、デイトジャストの方が似合うという判断です」
村上さんがこだわるのは、自身の感性。ウンチク話も否定はしないが、それよりも自分が今、カッコいいと思うデザインを純粋に身に着けるのが正解と説く。
「やっぱり素人ですから、機械云々とかも正直分からないです。そこにこだわっちゃうと、もう訳分かんなくなっちゃう。例えば今日着用してきたジャケットはオーダーで作りました。すると縫製がどう、とかって話になります。でも、正直分からないんですよ。もちろん、ある程度の知識は身につきます。でもその世界のプロフェッショナルでない限り、真の理解には至りません。それなら、自分が本当にカッコいい! 素敵だ!! っていう気持ちを大切にするべきだと思うんです。日本人ってそういう感覚が薄くって、とかくルールに縛られがち。ですから、もしもこれから時計を購入するならば、私からは“ウンチクから入るんじゃなくて感性から入ってください”と伝えたいです」
writer
土田貴史
ワールドフォトプレス『世界の腕時計』編集部でキャリアをスタート。『MEN’S CLUB』『Goods Press』などを経て、2009年に独立。編集・ライター歴およそ30年。好きが高じて、日本ソムリエ協会の「SAKE DIPLOMA」資格を保有。趣味はもちろん、日本酒を嗜むこと。経年変化により熟成酒が円熟味を増すように、アンティークウオッチにもかけがえのない趣があると思っている。「TYPE 96」のような普遍のデザインが好きだが、スポーツROLEXや、OMEGA、BREITLINGといった王道アイテムも、もちろん大好き。