知っていたらマニア!無名でも最高に格好良いヴィンテージ時計7選

2024.01.15
Written by 編集部

出演:クリス(販売スタッフ)×菅井(ディーラー)

YouTube企画で紹介している時計は、ロレックスやオメガ、セイコーなど誰もが知るメーカーが多いものの、無名でも素敵なヴィンテージ時計がたくさんある! ということで、今回はアンティーク・ヴィンテージ時計のディーラー菅井さんをお迎えして、無名だけれど最高に格好良い時計をお届けする。

紹介するのは、ビューレン、ジェンコ、エベル、エテルナ、ドクサ、マーヴィン、グリュエンの7本。これらを知っていたらヴィンテージ時計のマニア確定だ!(YouTube上ではマーヴィンとグリュエンの2本はおまけの形で紹介)

「名前を聞かないブランドが多いですよね。僕も正直なじみ深いブランドは多くないです。『エテルナ』は知っている方は知っている時計かなと思いますけれど、『ジェンコ』は聞いたことがないです」(菅井さん)

セイコーと似ている? ビューレン スポルト

まずは、クリスさんがこの中で一番好きだというビューレン『スポルト ダイバーズタイプ セイコームーヴ 1960年代製』を見ていく。

「針とインデックスの組み合わせはあまり見ない形。インデックスと針のほかに数字まで夜光が入っているうえに、回転ベゼルまで付いているという無名のわりにはすごく凝った作りをしている時計ですね」(菅井さん)

「そうなんです。何か見覚えないですか? これセイコーの150mダイバー(ファーストダイバー)に見えないですか? ケースのスタイルもそうですし、実はこれセイコーの機械が入っています」(クリスさん)

ビューレンはスイスのブランドだが、セイコーのムーブメントが採用されている。

「1960年代はファーストダイバーと年も近い。こういうスタイルがその時期に流行ったということですね」(菅井さん)

「ビューレンは確か1854年の創業で、実は1969年に世界初となる自動巻きクロノグラフCal.11を開発したメーカーとして名が通っていたらしいですよ」(クリスさん)

「ムーブメントを作るメーカーとしてはかなり優秀だったわけですね。これだけ歴史もあって格好良くて。でも名前が知られていないというだけでかなりお求めやすい価格で提供できる」(菅井さん)

その気になる価格は13万8千円。一方、似ているセイコーのファーストダイバーは50万円ほど。ネームバリューがあるか否かで、価格には大きな差がつく。

「ブランド問わずだったら、この時計はめちゃくちゃ良いですね」(菅井さん)

ディテールに注目。ジェンコ ツートンダイヤル

次に紹介するのは、菅井さんが気になっているジェンコ『ツートンダイヤル センターセコンド 1940年代製 手巻き』。ジェンコもスイスのメーカーだ。

「このジェンコの時計はディテールにかなりこだわっていて格好良いです。まず黒とグレーのツートンに金の字が入っている。ケースも外周にリングが入るような線があって何箇所か面が取れている」(菅井さん)

「これは傷が付いていくとより格好良いです。この年代の良さでもありますよね」(クリスさん)

「ほどよい傷が鈍い色を放っていて、質感がヴィンテージならでは」(菅井さん)

丸みのある風防が特徴。エベル トレタケ

トレタケ(3つ爪のスクリューバック)といえばロンジンが有名だが、続いて紹介するのはエベル『トレタケ ブラックギルドダイヤル 1940年代』だ。

「これはステップベゼルでロンジンっぽい」(クリスさん)

「ケースはロンジンそのままですね」(菅井さん)

エベルの『トレタケは14万8千円に対し、ロンジンの『トレタケ』は98万円。やはり有名か否かで大きな差が出る。ケースサイズは30.5mm(リューズ別)でクリスさんが好きなサイズ感だ。

「クリスは意外と小さい時計が似合う男性。レールウェイも格好良いし、ステップベゼルで立体感が出るんですよね。無名なのにこのクオリティ。一応まだ残っているブランドではあるんですけれど」(菅井さん)

文字盤は全アラビアで夜光が付いている。バブルバックではないが、風防のふくらみがバブルバックを思わせる見た目だ。

ユニークなラグが目をひく、エテルナ ツートンダイヤル

4本目はエテルナ『オートマチック 1940年代 ツートンダイヤル コンビ』。エテルナはヴィンテージ時計をかじっている方なら知っているかもしれないが、それでも有名とはいえないメーカーだろう。菅井さん曰く「機械も見た目もどちらも良い時計」だという。

「ステンレスケースにピンクメッキのベゼル。この組み合わせが良いですよね」(菅井さん)

「ヴィンテージ時計だとラグを見てしまいますね。ヴァシュロンのティアドロップ感があって。ただヴァシュロンだとお値段がパーンと上がる。これは10万円アンダーですよ。9万8千円!」(クリスさん)

焼け具合がシブい、ドクサ センターセコンド

5本目は、ミリタリーテイストのドクサ『センターセコンド ラウンド アラビアダイヤル 手巻き 1940年代』。

「これも当時はかなりスタンダードなラインだったと思うんですよね。全数字に中3針でステンレスケース、そしてスクリューバック。普及モデルとして作られていたモデルです」(菅井さん)

「当時スタンダードな時計でも、今では希少なモデルもありますよね。わりと一点物に近い。それで7万8千円はすごくないですか?」(クリスさん)

「この文字盤の焼け感や夜光のヤレ具合など、60年経ってからでないと出せない味わい。こういうのはヴィンテージの良さですよね」(菅井さん)

無名の時計はどんな人におすすめ?

ここまであまり知られていないメーカーのヴィンテージ時計を紹介してきたが、どんな人におすすめなのだろうか。

「最近は個性を求めている方が多い。ロレックスを着けているとどう見てもロレックスだとわかるので、こういったチョイスの方が個性は出しやすい。新しいモデルと比べて少しケアは必要かもしれないけれど、チョイスの幅が広がる」(クリスさん)

「ファッション好きな方は、いろいろとお金がかかると思うんですよ。靴もスーツも。そして時計も良いものを揃えたいとなると、ロレックスは高いしオメガもそこそこしますし、でも格好良い時計を着けたいじゃないですか? そうなるとこの辺りの無名な時計がいい。コストも抑えられて格好良い時計が手に入る。そういった方々におすすめできる時計です」(菅井さん)

あまり有名ではないのは、大手メーカーに吸収されたりクォーツショックにより去っていったりしたことが理由。けっして品質の優劣の問題ではない。

「ビューレンなんかは、その後ハミルトンの会社になるわけですからね。長年ヴィンテージの時計を見させてもらいましたけれど、無名でもかなり良い時計がいっぱいあるのは知っていたので、この機会にご紹介できてよかったです」(菅井さん)

マリリン・モンローも愛用していた、マーヴィン 14KYG

YouTubeでは、ここからはおまけの2本というかたちで紹介している。まずはマーヴィン『14KYG シリンダーケース 38mmビッグケース 手巻き 1940年代製』。

「ブレスはゴールドプレート。厚いメッキじゃないですかね? マーヴィンはケース径がかなり大きめ(38mm)」(菅井さん)

「マーヴィンは、チェ・ゲバラとかマリリン・モンローとか、そういったアイコニックな人たちも使っていた時計」(クリスさん)

「ブラックダイヤルで14金はすごい組み合わせですね」(菅井さん)

文字盤がケースいっぱいに広がっているため、とても大きく感じられる一本。当時としてもかなり大きなサイズだ。価格は45万8千円となっている。

医者のために作られた、グリュエン ドクターズウォッチ

最後に紹介するのは、医者のために作られたグリュエン『ドクターズウォッチ プリンス エグラー 1930年代製』。

「時計と秒針のところが同じ大きさ。今は良い感じにアイボリーに焼けていて、この青焼き針が映えますよね」(クリスさん)

「しかもエグラー社の機械を積んでいるんですね。ロレックスの有名なプリンスと同じ機械です」(菅井さん)

医者が脈拍を測るために秒針と時針・分針が重ならないように作られており、当時はかなりの高級品。菅井さん曰く、この時代はスクエアの時計が少ないので、ヴィンテージの中でもかなり珍しいという。価格は34万8千円だ。

あまり名の知られていない時計も選択肢に加えれば、人と被らない個性的な一本が見つかるだろう。

《人気の高い商品は、記事が公開されている頃にはSOLD OUTになっている可能性があります。最新情報を知りたい方は、ぜひファイアーキッズのインスタグラムや公式LINEなどをチェックしてみてください!》

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