【お洒落対決 時計deバトル】正統派のトラッド男子が選ぶアウター、ピーコートに合わせる

2024.02.06
Written by 長谷川剛

対談:ハッサン×ナカD

時計を複数持つのはもう当たり前。問題はそれをどう身に着けるのか? ドレッサーの条件はそれぞれあるが、ヴィンテージウォッチを上手に使いこなしてこそ本物のジェントルマン。そこでファイアーキッズ在籍スタッフのなかでも、特に着こなしにウルサい二人がお題に則して“正解”時計をピックアップ。お互いのコーディネイト理論を戦わせながらウォッチ巧者を決めていく。果してアナタはどっちの味方?

第2回お題アイテム:ピーコート

正統派のトラッド男子が選ぶアウターは、その多くが軍モノ出自のアイテムが多い。トレンチしかりダッフルしかり。なかでもピーコートはクラシックでありつつ着丈も比較的ショートなため、気軽に使えるトコロがポイント。なによりシンプルゆえにコーデしやすくワイドな衿が男らしさを引き立てるなど、非常にオススメの一着なのだ。

<お題>

今回用意したピーコートは、リアルな軍モノの70年代ヴィンテージ。分厚いウールのメルトン生地を使用した海軍譲りのダブルブレスト型。羽織るだけで男らしい渋味が漂う大定番。

<バトルスタッフ紹介>

ハッサン

学生時代からトラッド好きを貫くアラフィフ男子。フリーランスの売文業。趣味は時計とバイクと古い服。ラルフ ローレン・ファンをひた隠しながら、自分らしい着こなしができてるとウソブく元祖負けず嫌い。近眼で老眼。

ナカD

メディアを操りなんでも金に替えるディレクター。お堅いクライアントを持つため、表向きはジャケパンなどキレイめ系の着こなしを得意とする。ただしお洒落と言われたいため、昨今はムリして古着屋にも顔を出すアラフォー。クルマ狂い。

マリンテイストを取り入れるのがポイント

ハッサン 男の本気服は大体ミリタリーがそのオリジン。やっぱり闘ってる姿が一番カッコイイんです。だからと言って、ランボーみたいなベトナム帰りぷんぷんでは一向にモテません。そこにエレガンスがないとやっぱりダメなんです。ナカ・D・グンソーはソコがマッタク分かっておらん!

ナカD は? 誰が軍曹? なんで上官口調やねん。まあ、M65ブルゾンとか僕も好きだからミリタリーアウターは確かにイイと思います。しかもピーコートはマリンスタイルとの親和性もあるから、男らしくも爽やかに装えるところが魅力的。

ハッサン よし合格。二階級特進! ということで、まだまだ寒い今日この頃。軽量なダウンジャケットもイイけど、ヴィンテージ時計を渋味たっぷりに着けこなすなら、やっぱりトラッドアウターが一番でしょ? とりわけピーコートはクラシック外套のなかでも比較的ショート丈ゆえ、現代的なカジュアルスタイルにも着回しやすいところがポイントです。僕ならコートと色を合わせたボーダーのカットソーにホワイトジーンズ、そして時計はセイコーのウエムラダイバーズをセレクト。なんつーか夢を追い続ける生き生きした男性って感じでステキでしょ。

ナカD そのマリンコーデ、さっき僕が言ってたヤツのパクりじゃん。アンタはココロがステキじゃない! じゃあ、僕の場合はピーコートをあえてオンスタイルにこなしますよ。ドレスシャツ&タイの装いならビジネス的な品格も漂います。タイは都会的なブラックタイを選びつつ、チューダーのミニサブを着ければ、控えめモードな洒落感が生まれること確実!

ハッサン なるほど、荒海のごときビジネスシーンを乗り越えるアクティブ・コートスタイルか。ダイバーズも小さめサイズなら、持ち物にウルサい上司からも突っ込まれにくい。逆にグレースラックスを今風の太めにするとトレンディよね。よって二階級特進! じゃあ、お次はちょっと別角度の対決にしましょうか。ピーコートスタイルを大人っぽく格上げさせるなら、ナカDはどんなアイテムで味付ける?

ナカD そうですね、派手なウエアという考えは僕にはないので、勝負するなら小物になるのかな。とは言えネックレスなどのアクセサリーは少々苦手。控えめなシルバーのブレスやリングくらいが妙齢男子にとってはジャストだと思います。で、時計はジャガー・ルクルトのマリーン2。どうすかコレ? 

ナカD 一見古式ゆかしい角形でエレガントに見せつつ防水ケースでしっかりタフ。シルバートーンで統一するなどコレは完全にオシャレですよ? またまた二階級特進決まりっす!

ハッサン 残念!! 座布団二枚ボッシュート。理由はブレスレットと時計を同じ腕に重ね付てるから。貴重な時計がキズ付いちゃうでしょ? そういう場合は別々の腕に付けて下さいね。

ナカD ……。(笑点? 世界ふしぎ発見? どっちだよ)

ハッサン なんか言った? では改めて正解をお伝えします。正解の小物使いはシルクスカーフを巻く、でしたー。ミリタリーなアウター、しかもヴィンテージってやっぱりイカつい印象が先行します。だから、どこかに優しげでエレガントな要素を加えてあげるのがイイんです。シルクのツヤ感プラスで極上の甘×辛コーディネイトが完成するって寸法ですよ。

ナカD ほお。で、なんか肝心のモノ忘れてません?

ハッサン あー、スカーフのブランドはイブ サンローラン。ブルーとホワイトがマリンな感じでしょ。

ナカD ちがーう! 時計わいッ!?

ハッサン あ、忘れてた。えっとそうね、カルティエのパシャCとかどう? 気分はもうモロッコの太守ってコトでぶっちぎりのラグジュアリー。

ナカD 確かにハッサンという名前は中東っぽいし、シルクスカーフもワンランク上。だけど取ってつけたような感じがどうも気に入らん。では聞きますけど「パシャ」ってどういう意味?

ハッサン そりゃもうアレよ。自宅のプールでパシャパシャと……。

ナカD ハイ、軍法会議決っ定〜!

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長谷川剛

長谷川剛

1969年東京都生まれ。エムパイヤスネークビルディングに所属し、『asAyan』の編集に携わる。その後(有)イーターに移籍し『asAyan』『メンズクラブ』などを編集。98年からフリー。『ホットドッグプレス』『ポパイ』等の制作に関わる。2001年トランスワールドジャパンに所属し雑誌『HYBRID』『Warp』の編集に携わる。02年フリーとなり、メンズのファッション記事、カタログ製作を中心とする編集ライターとして活動。04年、エディトリアルチーム「04(zeroyon)」を結成。19年、クリエイターオフィス「テーブルロック」に移籍。アパレル関係に加え時計方面の制作も本格化。

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