この時計を着けて街を歩いて、オレがいま1番カッコいいんじゃないかと思います

2024.03.20
Written by 土田貴史

文=土田貴史

金野旭飛(きんの・あさひ)YouTuber兼SNSマーケティング会社「株式会社AMAIN」代表。YouTubeの動画制作のためにFIRE KIDS横浜本店を訪れ、野村店長の時計トークに心酔。アンティーク・ウォッチの世界に触れたその当日に、ロレックスのデイトジャストを即決で購入した

時計好きに「あなたの時計、見せてください」という企画。今回、時計を見せてもらったのは、YouTuberであり、SNSマーケティングの会社を経営している金野旭飛(きんの・あさひ)さん(24歳)。じつは、YouTubeの撮影でFIRE KIDS横浜本店を訪れ、ロレックス「オイスター・デイトジャスト」にひと目惚れ。アンティーク・ウォッチの世界へはじめて足を踏み入れたにも関わらず、この渋いモデルを即決で購入した猛者である。

第一印象ですぐに気に入った

「正直、腕時計の世界は、カッコいいなとは思っていました。でも、若者が着けるというよりも、大人が着けるイメージで、自分にはまだ縁がなくて。たまたまYouTube制作の仕事で、企画としてFIRE KIDS横浜本店に行ったんですが、そこでスゴくいいモデルがあって……」

金野さんが見初めたのは、「ロレックス・デイトジャスト」。フルーテッドベゼルにブルーの文字盤を搭載した、ツウ好みのモデルだ。もちろん、素晴らしいモデルであることは間違いないが、アンティーク・ウォッチの世界にはじめて触れた20代としては、かなり渋みの効いた選択である。同じロレックスでも、サブマリーナーやエクスプローラーなど、スポーツモデルに食指が動くのが若者の常だからだ。

金野さんがFIRE KIDS横浜本店で購入したのが、こちらの個体だ。ブルー文字盤、フルーテッドベゼルという希少性の高いモデルである。さらにジュビリーブレスレットが付いていて腕馴染みもよく、一般的なブレスレットよりもエレガントに見える

「いえ、第一印象で、これが一番カッコいいと思ったんです。スーツで仕事する時にも使えたらいいなと。ブルーの文字盤が派手すぎないし、かわいい。若くして社長とかYouTubeとかやっているから、派手な腕時計を着けてる……って思われたくないこともありました」

何より、デザインがとても気に入ったそうだ。金野さんにとっては、自分が生まれる前から存在する超スタンダードな意匠だが、「最近のモノって言われても、正直分からないぐらい。しかもヴィンテージなのにこんなにいいコンディションなんだっていうことにも驚いています」。

購入以来、どこに行くときでも欠かさず腕に着けている金野さん。ズバリ、所有した感想をうかがうと、「めちゃくちゃ、アガります。この時計を着けて街を歩いていて、オレがいま1番カッコいいんじゃないかぐらい思います(笑)」

撮影当日、野村店長の時計トークに心酔

金野さんのYouTubeチャンネルでは、“横浜”をキーワードに、市内の店鋪や企業の紹介を行っている。FIRE KIDS横浜本店を訪れたのも、その動画撮影が目的だった。

「そもそも今回うかがうまでは、アンティーク・ウォッチ専門店があることすら知りませんでした。はじめて足を踏み入れた瞬間の感想ですか? それは怖かったですよ(笑)。もっと高貴な方々が訪れる場所というイメージがでしたから」

ところが、撮影当日、金野さんは個人的に時計を購入するまでに至っている。そこには、どういう心境の変化があったのだろう?

「野村店長から様々なエピソードをうかがっているうちに、仕事として来たはずが、話が面白くてのめり込んでしまい、いつしか完全にお客さん目線に切り替わっていました(笑)」

とはいえ決して安価なアイテムではないので、ただ単に面白いと思っただけではなかなか手を出しにくいはず……。それでも購入に踏み切ったのは、「価値が下がりにくい、という話を聞いたからです。それで、少し安心したというか。万一、いつかお金に困った時でも、売ってまとまったお金になると考えれば、心理的なハードルが下がりました」

売却時の価格がプラスアルファであれば嬉しいし、そうならなかったとしても、購入金額に比べてそれほど目減りしていなければ、納得できる。金野さんは、「何年間か着けて楽しめて、その後に売って、また別のモデルを買うとか、そういう楽しみもありそう」と思えたことが、最後の決め手になったそうだ。

ちなみに、24歳にしてアンティーク・ウオッチのオーナーとなった金野さんだが、これからの時計人生をうかがうと、「少しずつでも知識つけていきたい」と、これまた即答。時計の背景にある世界観の奥深さにハマったという。20世紀に生まれた機械式時計とは、当時の先端技術を用いて、ギリギリ100%のもの作り上げていた。その先達たちの努力に思いを馳せることは、永遠のロマンだ。

「これから凝りがいが、ありそうです。そういう知識があった方が、カッコいい大人だなって思えるんです。うん、大人の嗜みっていう感じですね」

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土田貴史

土田貴史

ワールドフォトプレス『世界の腕時計』編集部でキャリアをスタート。『MEN’S CLUB』『Goods Press』などを経て、2009年に独立。編集・ライター歴およそ30年。好きが高じて、日本ソムリエ協会の「SAKE DIPLOMA」資格を保有。趣味はもちろん、日本酒を嗜むこと。経年変化により熟成酒が円熟味を増すように、アンティークウオッチにもかけがえのない趣があると思っている。「TYPE 96」のような普遍のデザインが好きだが、スポーツROLEXや、OMEGA、BREITLINGといった王道アイテムも、もちろん大好き。

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