時計を買うならメンテナンス代も考慮せよ!オーバーホールの価格を比較してみた
出演:野村店長×クリス(販売スタッフ)
時計本体の価格以外に問い合わせが多いのが「オーバーホール代はいくらかかる?」ということ。今回はオーバーホールやパーツ交換などの相場感を紹介する。
オーバーホールにはいくらかかる?
そもそも本体の価格とオーバーホール代は比例するものなのだろうか? クリスさんが野村店長に聞く。
「現行品の場合は当てはまるでしょうね」(野村店長)
「100万円アンダーの時計でだいたい5〜6万円。100〜300万円くらいの時計で10〜20万円くらいという感じですよね」(クリスさん)
「一般的に、時計の維持費は価格の1割といわれていました。100万円の時計だったら10万円くらいだったけれど、今はだいぶ変わったかな」(野村店長)
「今だと、オーバーホールはメーカーに持ってきてもらえるように作っているので、価格は高めに設定されていますよね」(クリスさん)
「ロレックスのデイトジャストのオーバーホール、いくらだと思う? 12万円だよ。時計買えちゃうじゃん!」(野村店長)
「オーデマ・ピゲとか25万円くらいしますからね」(クリスさん)
「良い時計買えちゃうね。だから時計を買うときに考えた方が良いですよ!という話。ロレックスを買ったら、維持費が最低でも5年に1回12万円はかかる」(野村店長)
「我々がフォーカスしているポイントは、一生使っていける時計じゃないですか。しっかりオーバーホールして大切にする……。そのなかでオーバーホールは分解掃除とやっていることは変わらないのに(メーカーやモデルによって)価格が倍にも3倍にもなってすごいです」(クリスさん)
「例えばロレックスに出すと、ゼンマイやリューズの交換はほぼ必須。ゼンマイはいつか切れるものだから新しいものに変えておいた方が良いのは間違いないけれど、必要あるのかな……というところもあるよね」(野村店長)
セイコー、オメガ、ミネルバ。オーバーホール代を比較
紹介したように、時計によってオーバホール代には差がある。実際にファイアーキッズで取り扱っているセイコー、オメガ、ミネルバから3本をピックアップし、比較して見てみよう。
まずは、セイコー『クラウンスペシャル』(金張り 1963年製 オリジナル箱付き)。価格は9万8千円に対し、オーバーホール代は2万円だ。
オメガ『クロノストップ』(1970年製 Ref.145.009)は16万8千円で、オーバーホール代は4万円〜。クロノグラフであることから少々高めで『コンステレーション』や『シーマスター』であれば3万円ほどだ。
69万8千円のミネルバ『2レジスタークロノグラフ』(手巻き Cal.13-20CH 1940年代製)のオーバーホール代は、5万円が基本となる。
「クロノグラフのオーバーホールの見積りは難しいですよね?」(クリスさん)
「難しいですよね。パーツの点数が多くなるから、クロノグラフの動かし方によっては摩耗が起きやすかったり無駄な機能を付けていたりするから(笑)その分メンテナンス代がかかることはありますね」(野村店長)
パーツ交換はプラスでかかることをお忘れなく!
「ヴィーナスとかバルジューとか、みなさんが知っているような名キャリバーは、パーツがあってオーバーホールしやすいとかあるんですか?」(クリスさん)
「消耗部品は出てくる。例えばゼンマイとかは問題なくあります。いろんなところに供給しているので、純正と同じようなパーツが出てくる」(野村店長)
自社ムーブメントと謳っている時計でも、ゼンマイはほかのメーカーのものを搭載している場合がほとんどで、共有できるものが多いという。ちなみに、ゼンマイ交換はプラス5千円ほどかかる。ほかに、部品によって交換費用はどのくらいかかるのだろうか。
「多いのは『端にヒビが入っていますね』という風防の交換。オーバーホールと一緒だったら5千円くらい。特殊な防水のやつで7千円くらいですね」(野村店長)
「それはプラスチックとガラスでは違いますか?」(クリスさん)
「そうですね。プラスチックだと先ほどの価格。ガラスだとプラス1万円。現行のサファイア系だと1万5千〜2万円とかありますね。特殊なやつでなければ言うほど高くはない。あとはやっぱり消耗部品のリューズ。純正を探すとなると厄介。例えばミネルバのリューズを探すのには無理があるから、近い形のものを探す感じですね。純正にこだわらなければ数千円です」(野村店長)
「ローターの交換は何十年後くらいなんですか?」(クリスさん)
「ローターを変えることはない。ただ、ローターを支えている芯は減るので、芯は5千〜1万5千円くらいかな。それから、落としてしまって天真が折れた場合、別作するとなると2万円」(野村店長)
特別なパーツではない限り、パーツ交換の相場は5千〜2万円ほどと見ておけばよいだろう。
「時計を買ううえでは、維持費も考えて買うのが重要。現行品の時計を買うとものすごく高額だったりするので、維持するにはお金が必要であることを知って買ってもらった方が良いかなと思います」(野村店長)
一生モノとして買ったつもりが、そのメーカーが10年後になくなるなんてことがあるかもしれない。そして、メーカーでしか修理できない構造の時計も増えているので、野村店長は「維持できるかを考えたうえで買った方が良い」とアドバイスする。
紹介した3本はメーカーではなくともオーバーホールができる作りになっているため、一生モノとしてもオススメだ。
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