GMTとは何?〜歴史と魅力を解説!

2024.06.09

出演:野村×宮崎

時計の基礎知識として、今回はGMTについて野村スーパーバイザーが解説。GMTといえば筆頭に挙がるロレックスの『GMTマスター』と、セイコーの『ワールドタイム(東京オリンピック記念モデル)』の2本も紹介する。

GMTとは?

GMTとは、Greenwich Mean Time(グリニッチミーンタイム)の略で、「グリニッジ標準時」のことだ。

「時間がイギリスのグリニッジ天文台が基準になっていることが由来。腕時計に関しては、24時間で一周する針を用意して回転ベゼルなりを装備しているもの。要は、ホームタイムとセカンドタイムがわかる仕様です。元々は国際線のパイロット向けに生まれた時計。出発地点はそのまま、到着地点との時差を回転ベゼルでセットして『到着地点は今○時だよ』と表示できる時計です」(野村さん)

いろいろなメーカーが開発しており、ロレックスのGMTマスターも進化。現在ファイアーキッズで取り扱いのあるロレックス『GMTマスターⅡ 1995年製 Ref.16713 ルートビア オイスターブレス ギャラ付き』も、24時間針が単独で動くようになっている。

戦後の1950年代は、一気に国際線が運用され航空産業が発達した時代。航空会社が戦時中のパイロットたちの受け入れ先であったことが大きい。そして、アメリカ国内でも4つのタイムゾーンに分かれていることもあり、一目で時差のわかる時計は需要があった。

「時差のある国に行くときのため、パイロットたちがロレックスに24時間針が付いている時計をオーダーしたのが最初ですね」(野村さん)

「何年くらいにGMTが搭載されたモデルができたんですか?」(宮崎さん)

「1955年かな」(野村さん)

目を引くカラーリングが魅力

なぜGMT搭載モデルが人気を集めるのか。その理由の一つにカラーリングが挙げられる。

「カラーリングでしょうね。変な話、GMT機能が必要な人は一握りじゃない? もちろん海外に取引先があって『そっちは何時かな?』と見る使い方もできるけれど、それは一部で実際はカラーリング。ロレックスのGMTマスターは赤と青のベゼルが一番有名だけれど、カラーリングがいかにもアメリカらしいじゃない?」(野村さん)

赤と青のカラーリングから通称「ペプシ」と呼ばれるモデルは、かつてアメリカに存在したパンナム航空のオーダーによって生まれた。アメリカらしい面持ちから、特にアメカジを愛する人たちから親しまれている。

「ロレックスでカラーを扱うのは、やはりGMTマスターが最初だったかな。そういう部分もあって人気は高いと思います」(野村さん)

「ベゼルが2色の配色は、GMTならではだと思います」(宮崎さん)

「GMTに多いよね。アメリカの軍用モデルで白黒はあるけれど、色使いは目を引くし魅力的なんじゃないかな」(野村さん)

シャツスタイルの人、そして腕が細い人におすすめ

「GMTの特徴としては、国際線のパイロット向けということもあり、シャツを着たときに袖口に引っかからない感じ。厚みを抑えてあるんだよね。少しの差だけれど、腕が細い人には圧倒的に使いやすい」(野村さん)

何度かロレックスのサブマリーナーを買っては手放してきたという野村さん。それは自身の細い腕に合わないことが理由。しかし、ほんの少し厚みを抑えてあるGMTマスターは着けやすいようだ。現行のGMTマスターはラグ足が太く分厚いものもあるが、Ref.1675やRef.16753などの“旧GMTマスター”は厚みが抑えられてある。

GMTウォッチを代表するロレックスのGMTマスター

続いて、詳しくGMT搭載モデルを見ていく。まずはロレックス 『GMTマスター 1984年製 コンビ 茶ツボRef.16753』だ。

「GMT機能が付いている時計として真っ先に出てくるモデルですよね」(宮崎さん)

「間違いない。GMTと言ったらこのモデルだよね」(野村さん)

「ロレックスのGMTマスターはいろんなカラーリングがあるけれど、自分はこの“茶ツボ”が一番好き。この立体感のあるインデックス(ニップル/ツボ)はGMTマスターの特徴だと思いますが、何か理由はあるんですか?」(宮崎さん)

「コンビが発売される前に金無垢が発売されたんだよ。金無垢用の文字盤がニップル/ツボだったので、そのままコンビにも採用している。だから高級感もあるし、インデックスもただの夜光じゃなくて立体的になっているわけです」(野村さん)

「小さいことですけれど、こういう違いが魅力を何倍にもしてくれると思います」(宮崎さん)

「ちなみに、Ref.1675の方は王冠マークがアップライトでマットの文字盤が基本ですけれど、Ref.1675の後期は艶のある文字盤。ルートビアといわれる特別な色で、すごく人気だよね」(野村さん)

「ルートビアだったりペプシだったり。飲み物で例えていますよね」(宮崎さん)

「Ref.1675の方はペプシと呼ばれているし、そういう例えがあっておもしろい。アメリカ的だね」(野村さん)

部分的にムラが出やすい文字盤だが、現在ファイアーキッズにあるロレックス 『GMTマスター 1984年製 コンビ 茶ツボ Ref.16753』は、全体的に変色していて良い個体だという。そして、ランクが上のサブマリーナー用のブレスが付いている。

「まだアメリカ時計産業があった頃の名残。関税が高くてヘッドだけを輸入して後でブレスを付けているものも多いんだよね。これなんかはお金をかけてグレードアップしている」(野村さん)

各国の時間がわかる、セイコーのワールドタイム

続いて、国産のGMTセイコー『ワールドタイム1stモデル 聖火マーク 1964年製 オートマチック Ref.6217-7000』を紹介する。

宮崎さんが「GMTではなくワールドタイムとあるんですけれど……。12時の位置に自分のいる国を合わせるんでしたっけ?」と言うと、目をパチパチとさせた野村さん。正しい使い方を教えてもらう。

「正解は、24時間針が付いているでしょ? 24時間針に自分のいる国の時間を持ってくる。これの場合は“TOKYO”になっているけれどね。“TOKYO”を24時間針に合わせてあげると世界の国が『今○時だよ』とわかる。基本的にはGMTと同じ針の並びだよね、4本の仕様で。それを世界各国の時間がわかるようにしているモデルです」(野村さん)

このセイコーのワールドタイムは、1964年の東京オリンピックの際に記念モデルとして発売された。裏蓋には聖火マークの刻印が“うっすら”残っている。

「(聖火マークの刻印は)心の目で見てください」(野村さん)

「GMTマスターは2つの国の時間ですが、こちらは世界中の時間を1つの時計でわかってしまう。すごいですね」(宮崎さん)

「すごいでしょ。そのかわり、僕みたいな老眼になると何も見えない……。いろんなメーカーがワールドタイムを出しているけれど、このごちゃごちゃ感が格好良い」(野村さん)

戦後復興の象徴であった東京オリンピックの記念モデル。海外旅行も夢ではなくなり、一気に国際化していくなかで時代を象徴する一本といえる。これも文字盤に少しカラーが入っているが、野村さん曰くセイコーのなかで色文字盤を使った時計は、これが最初ではないかという。デザインの幅も広がったモデルだ。

最後に、野村さんに改めてGMTの魅力を聞く。

「パイロットに憧れたことってない? たぶん男性の99%はパイロットに憧れると思う。クロノグラフとかもそうですけれど、パイロットウォッチって憧れる時計の一つかなと思います」(野村さん)

世界を周るジェットセッターにはGMTが似合う。そして、時計で差し色ファッションを楽しみたい人にもおすすめだ。厚みを抑えたモデルがよければ、現行よりもヴィンテージのなかから探してみるとよいだろう。

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