腕時計の基本「ダイバーズ」とは? 初心者向けに定義・歴史を名品3本とともに解説

2024.06.28
Written by 編集部

時計マニアが集まるFIRE KIDSのスタッフが、ヴィンテージ時計の魅力を伝えるYouTubeコーナー。毎回異なるテーマで、厳選されたモデルをご紹介する。

今回は、腕時計の基礎知識講座「ダイバーズウォッチ」ということで、ダイビングやマリンスポーツなど、水に関わる場面に適した機能を持つ腕時計の定義から、ヴィンテージダイバーズのおすすめや注意点について再解説していく。購入を検討されている方や初心者の方は参考にしてみてほしい。

ダイバーズウォッチの定義・歴史について

「ダイバーズウォッチ」は、水深100mの潜水に耐え、その1.25倍の水圧に耐える耐圧性があること、潜水時間を管理する機能を要することを現代の定義としている。元々は防水時計からスタートしたダイバーズ、まずはその歴史を紐解いていく。

「防水はやはりオイスターケースからで、ロレックスだよね。ドーバー海峡を泳いで渡るという時に着けさせたのが最初で、ダイバーじゃないねスイマーだもんね」(野村店長)

「正確には多分、懐中時計みたいなものをアウターケースに入れて着けて潜ったのが最初だと思うけど、ダイバーズ的に売り出されているのはオメガが最初じゃないかな。オメガのマリーンという角型時計があるんですけど」(野村店長)

「何年にできた時計なんですか?」(宮崎さん)

「1932年とか。これは結構面白い時計で、角型防水だからね。しかもすごい小さいの、海の中で見えるのか? というレベルなんだけどね」(野村店長)

「しかも二針ですか?」(宮崎さん)

「夜光入りのモデルもあるし、無しもあるし、金無垢があるからすごいよね」(野村店長)

だが、現代のダイバーズの先駆けとも言われる発祥モデルは、機能やデザインが高度に洗練されたブランパンの『フィフティファゾムス』。

ロレックスのサブマリーナも1953年に登場しているので、「本当はサブマリーナの方が先なのでは?」と野村店長が言うように、ケースの出来から言ってもフィフティファゾムスはロレックスと比べるまでもなく、「本当に防水効くの?」という感じのケースだったとか。潜水時間を管理する機能はブランパンのフィフティファゾムスやサブマリーナに確立されている。

「ダイバーズウォッチの特徴でもある回転ベゼルの使い方は?」(宮崎さん)

「潜り始める時に、長針にマーカーを合わせて何分経過しているのかチェックする機能。ダイバー以外でも、実用として何分経過したかチェックしたい時に使えるし、別に短針に合わせて何時間経ったかなと見ても良いと思うし、それこそ秒針に合わせて何秒経過したかと測っても良いし」(野村店長)

当時のダイバーズウォッチも「○気圧防水」「○m防水」と謳っているが、現代のように水圧のチェックルールが確立されていなかった時代なので、ヴィンテージの防水性については要注意だ。

ダイバーズウォッチの変わらない魅力とは?

昔から形が大きく変わらずに、今でも変わらない人気を誇るダイバーズウォッチ。防水時計の登場によって「活動の幅が広がる」という部分に、魅力の理由があるのではないかと野村店長は語る。

「防水時計はロレックスが作り出してから、今までの時計よりも使用範囲が広がって、そういう部分の1つがやはりダイバーズウォッチ。耐水圧という部分でもサイズは大きくはなるんですけど、実用時計として40mmサイズでほぼ収まっているというところも今まで続いている理由かなという感じがしますかね」(野村店長)

「活動の幅が広がるという部分で防水機能は大きい。特に1950年代とかは、時代背景的にも登山やダイビングが人気だったり、航空機が発達することによって海外旅行とかそういったものが一気にワッと世界中で広がる時期。それもあって活動の幅を広げる道具としてダイバーズウォッチであったりとか、フィールドウォッチそういったものが広がる中の1つだよね」(野村店長)

「戦争が終わって平和な時代が来たという部分もあるのかな。潜水の仕事をする人は昔は多くなかったわけで、ダイバーが戦争の道具としてじゃなくて、趣味として認知されて」(野村店長)

日本でも海水浴が流行ってるという流れから、シチズンが1950年代後半に日本初の完全防水時計『パラウォーター』を発売したりと、時代背景や需要に合わせて腕時計の仕様も変わっていく。

メーカー・年代別におすすめモデルを紹介

ダイバーズモデルはさまざまなブランドから出ていることもあり、多くの種類が存在する。ここでは、メーカー・年代違いのおすすめダイバーズウォッチ3選を見ていきたい。

まずは1本目、ロレックスの『サブマリーナ 1966年製 Ref.5513』。27年間のスーパーロングセラーモデルであるCal.5513は、マイナーチェンジの回数も多くバリエーションが豊富で面白い。「フチなし」「ミラーダイヤル&ゴールドレター」「メーターファースト」仕様の希少な個体だ。

「防水が当時の200mで回転ベゼルが付いていて、今のダイバーズウォッチの基準もクリアしているめちゃくちゃ正統派なダイバーズ」(宮崎さん)

「他のダイバーズは1960年代くらいで途絶えちゃうけど、サブマリーナーが生き続けるのはそれだけ出来が良かったし、人気もあったからだよね」(野村店長)

2本目は、チューダーの『ミニサブ MINI-SUB 1989年製 プリンスオイスターデイト Ref:94400』だ。

「1950〜1960年代の耐水性を考えると、ある程度大きさが必要だったのでサブマリーナー(Ref.5513)は最初36mm径くらいだと思うんですけど、100mで発売から200mまでアップするという部分で、39mmまでアップしていて。時代が流れていってクォーツショックがあってという流れで、男性もそんなに大きい時計しなくなったこともあり、これは男性用として売られているんだよね」(野村店長)

「おしゃれですね。このサイズ感もすごい好きです」(宮崎さん)

当時はメンズサイズとして販売されたモデルだが、現代ではユニセックスモデルとして使用もできる。ネイビーカラーのダイヤルとベゼル、オイスターケースに王冠リューズでロレックスにはないサイズ感が特徴の1本だ。

3本目は、オリエント『フルオートオリエント キングダイバー 1960年代製 BEARステンレスブレス』。幅が約42㎜の大振りなケースにインナー回転ベゼルを装備したスーパーコンプレッサーケースを思わせるダイバーズウオッチ。

「特徴的なのはインナー回転ベゼルだよね」(野村店長)

「上のリューズを回すと内側のベゼルが回ってくれる」(宮崎さん)

「これはこれでカッコいいよね、逆にでかいからカッコいい。3つともに共通してるのが夜光入りの針で、暗い海の中でも一応読み取りがしやすくなるかな」(野村店長)

たとえダイバーズウォッチであったとしても、ヴィンテージの防水機能は完全に信用できるとは言えないのが弱点ではあるが、年代やメーカーによっては、これから汗ばむ季節に活躍してくれるモデルも数多く存在する。ぜひ一度手にして、その歴史ある魅力を感じてほしい。

writer

ranking