セイコー 5スポーツ スピードタイマー解説|Cal.6139/6138/7017とブルヘッド・UFO・角目の世界

2026.04.07
最終更新日時:2026.04.08
Written by 編集部

セイコー 5スポーツ スピードタイマーは、1969年に世界初の自動巻きクロノグラフのひとつとして誕生した、国産時計史上最も重要なクロノグラフシリーズです。ゼニス「エル・プリメロ」やホイヤー-ブライトリング連合と同時期に自動巻きクロノグラフの開発競争を繰り広げ、セイコーはコラムホイール+垂直クラッチ機構という独自設計で世界を驚かせました。

「ブルヘッド」「UFO」「角目」などの愛称を持つ個性的なケースデザインでも知られ、コレクターから絶大な人気を誇ります。

この記事では、Cal.別・デザイン別にスピードタイマーの全貌を解説します。

スピードタイマーとは何か。世界初の自動巻きクロノグラフ競争

セイコー 5スポーツ スピードタイマー

1969年の三つ巴の戦い

1969年は自動巻きクロノグラフ元年と呼ばれています。この年、3つの陣営がほぼ同時に自動巻きクロノグラフムーブメントを発表しました。

陣営ムーブメント振動数特徴
セイコーCal.613921,600振動/時コラムホイール+垂直クラッチ
ゼニス-モバードエル・プリメロ36,000振動/時ハイビート
ホイヤー-ブライトリング連合Cal.11/1219,800振動/時モジュール式

セイコーのCal.6139は、コラムホイール(クロノグラフの制御機構)と垂直クラッチ(動力伝達機構)を組み合わせた独自設計で、操作感の滑らかさと耐久性の高さが特徴です。

スピードタイマーの系譜

スピードタイマーシリーズのCal.は大きく3つの世代に分けられます。

Cal.世代レジスター振動数特徴
Cal.6139初代1レジスター(30分積算計)21,600振動/時世界初を主張
Cal.61382代目2レジスター(12時間+30分)21,600振動/時多彩なケースデザイン
Cal.7017A特殊積算計なし(インナーベゼル)21,600振動/時ベゼルで60分積算

Cal.別・デザイン別解説

Cal.6139搭載モデル:世界初の自動巻きクロノグラフ

Cal.6139は、セイコーが世界に先駆けて市販化した自動巻きクロノグラフムーブメントです。6時位置に30分積算計を備えた1レジスター式で、デイデイト機能も搭載。21石・21,600振動/時の仕様です。

Cal.6138搭載モデル:ブルヘッド・UFO・角目の人気機

Cal.6138は2レジスターのクロノグラフムーブメントで、9時位置に30分積算計、3時位置に12時間積算計を備えます。Cal.6139の発展型として、より多彩なケースデザインに搭載されました。

ブルヘッド(茶馬):Ref.6138-0040

12時位置にプッシュボタンを配置した「ブルヘッド(雄牛の頭)」デザインは、スピードタイマーの中でも最も人気の高いモデルのひとつです。国産ファンからは「茶馬」、海外ファンからは「ブルヘッド」の愛称で呼ばれています。

12時側と6時側でベルトの太さが異なる独自の純正ブレスレット仕様も特徴的です。ケースサイズ43mmと大型で、手首の上で圧倒的な存在感を放ちます。

UFO:Ref.6138-0011

その円盤型のケース形状から「UFO」の愛称で親しまれている人気モデルです。縦目の2レジスタークロノグラフで44mmの大型ケースを持ち、Cal.6138Bを搭載しています。曜日は日英表記のデイデイトで、早送り機能付きです。

角目:Ref.6138-0030

通称「角目」と呼ばれる、スクエア型のインダイヤルを持つ独特のデザインが特徴です。鮮やかなブルーダイヤルとの組み合わせが多く見られ、ボリューム感のあるケースと相まって人気の高いモデルとなっています。

ベビーパンダ:Ref.6138-8000

通称「ベビーパンダ」と呼ばれるモデルも存在します。海外で人気が高く輸出仕様が多いですが、曜日の日本語・英語切替が可能な国内仕様も製造されていました。

Cal.7017A搭載モデル:インナーベゼル付き

Cal.7017Aは、積算計を持たない代わりにインナー回転ベゼルを装備した独自の仕様です。曜日はリューズを押し込むことで早送りができ、日本語・英語表記を選択可能です。日付の早送りはリューズを一段引いて回す操作で行います。

代表的なモデルはRef.7017-6000です。ベゼルのタキメーターとインナー回転ベゼルを装備した通称「ラリーメーター」と呼ばれるバリエーション(Ref.7017-6040)や、珍しいパルスメーター(脈拍計)スケールを備えたRef.7017-8000も存在します。

スピードタイマーの文字盤バリエーション

セイコー スピードタイマー 文字盤バリエーション

ラリーメーター

タキメーターの代わりに速度計算用のラリーメータースケールを備えた文字盤。通称「ラリーメーター」と呼ばれ、モータースポーツとの結びつきを感じさせるスポーティなデザインです。

ブルーダイヤル

角目モデルを中心に、鮮やかなブルーのダイヤルが多数見られます。1970年代のセイコーらしい大胆なカラーリングです。

ブラウン×ゴールド

ブルヘッド「茶馬」の代名詞であるカラーリング。ブラウンの文字盤にゴールドのトーンが映える、レトロスポーティなデザインです。

パルスメーター

医療用の脈拍計スケールを備えた珍しいバリエーションです。Ref.7017-8000に見られる希少なモデルで、コレクターからの注目度が高い存在です。

スピードタイマーの選び方:3つのポイント

セイコー スピードタイマー 選び方

ポイント1:デザインの好みで選ぶ

モデル愛称Cal.ケースサイズ特徴
Ref.6138-0040ブルヘッド/茶馬Cal.613843mm12時位置プッシャー
Ref.6138-0011UFOCal.6138B44mm円盤型ケース
Ref.6138-0030角目Cal.6138 A40mm程度スクエアインダイヤル
Ref.7017-6000ラリーメーター等Cal.7017A41mmインナーベゼル
Ref.7017-8000パルスメーターCal.7017A41mm脈拍計スケール

ポイント2:Cal.の違いを理解する

  • Cal.6139:1レジスター。シンプルで視認性が高い。歴史的価値も高い
  • Cal.6138A/6138B:2レジスター。より多くのクロノグラフ機能。人気デザインが多い
  • Cal.7017A:積算計なし。インナーベゼルで60分の計測を行う独自の使い方

ポイント3:操作感と状態を確認

クロノグラフの操作感は非常に重要な確認ポイントです。スタート・ストップ・リセットがスムーズに動作するかを確認しましょう。クロノグラフは3針時計と比べてムーブメントの構造が複雑なため、定期的なオーバーホールが欠かせません。

スピードタイマーに関するよくある質問

Q: スピードタイマーは本当に「世界初」の自動巻きクロノグラフですか?

A: セイコーはCal.6139搭載モデルを1969年5月に発売したと主張しており、ゼニスのエル・プリメロやホイヤー-ブライトリング連合との「世界初」の称号を巡る議論は現在も続いています。確実に言えるのは、セイコーが世界で最も早く「市販化」した自動巻きクロノグラフメーカーのひとつであるということです。

Q: スピードタイマーのオーバーホールは難しいですか?

A: クロノグラフはムーブメントの構造が複雑なため、通常の3針時計と比べてオーバーホールの難易度は高くなります。特にCal.6138/6139はコラムホイールと垂直クラッチという高度な機構を持つため、クロノグラフの修理に精通した時計師に依頼することが重要です。

Q: 「ブルヘッド」はなぜ人気があるのですか?

A: 12時位置にプッシュボタンを配置した独特のデザインが最大の理由です。通常のクロノグラフとは異なるレイアウトと、12時側と6時側でベルトの太さが異なる独自の純正ブレス仕様が、コレクターを惹きつけています。

Q: ケースサイズが大きいですが、日常使いできますか?

A: スピードタイマーは全体的に40〜44mmと大型です。1970年代のヴィンテージ時計としては非常に大きく、現代のスポーツウォッチと同等のサイズ感です。腕が細い方は事前にサイズを確認することをおすすめしますが、現代の時計に慣れている方であれば違和感なく着用できるでしょう。

Q: 国内仕様と海外仕様の違いは?

A: 国内仕様は曜日の日英切替が可能です。海外仕様は英語のみとなります。

まとめ:スピードタイマーは「日本のクロノグラフの誇り」

セイコー 5スポーツ スピードタイマーは、1969年の自動巻きクロノグラフ競争においてスイスのゼニスやホイヤーと対峙した、日本の技術力の結晶です。

ブルヘッド、UFO、角目、ラリーメーター、パルスメーターといった個性的なバリエーションは、半世紀以上経った今でもヴィンテージ時計コレクターから絶大な人気を誇ります。コラムホイール+垂直クラッチという高度な機構と、大胆なケースデザインの融合は、国産クロノグラフの最高峰として評価され続けています。

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