IWCの時計、なぜこんなに謎が多いのか?ブランドの「わからない部分」を正直に考えてみる

2026.09.28
最終更新日時:2026.09.28
Written by 編集部

FIRE KIDSの時計をチェックする

 


IWCを知ろうとすると、なぜか疑問が増えていく。

「この名前にはどんな意味があるのか」「なぜこのモデルが生まれたのか」。調べるほど新しい謎が見えてくるのも、IWCというブランドの面白さです。

この記事では、そんなIWCにまつわるいくつかの「謎」をひも解いていきます。

すべてに明確な答えがあるとは限りません。だからこそ、歴史や時計を追いかける楽しさがある。

いつもとは少し違う角度から、IWCの奥深さを覗いてみましょう。


IWCという名前の「謎」——そもそも何の略なのか

まず気になるのが、ブランド名そのものです。

「IWC」はInternational Watch company.の略。1868年、アメリカ人のフローレンタイン・アリオスト・ジョーンズが、スイス・シャフハウゼンで創業したことから始まります。

興味深いのは、なぜ当時の小さな工業都市で「International」という名を掲げたのかということ。

アメリカ人がスイスで時計会社を立ち上げた時点で十分に国際的ですが、その言葉にどこまで意図があったのかは、はっきりしない部分もあります。

その後、ブランドは「IWC Schaffhausen」という表記を強く打ち出すようになります。

“International”と“Schaffhausen”という二つの言葉が同居していること自体、IWCらしい面白さではないでしょうか。

名前ひとつから、こんな疑問が広がっていく。それもIWCを知る楽しさのひとつです。


「ポルトギーゼ」とはなんのことか

IWCのモデル名のなかでも、少し不思議なのがポルトギーゼ(Portugieser)です。

ポルトギーゼは、ドイツ語で「ポルトガル人」「ポルトガルの」という意味。スイスの時計ブランドが、なぜポルトガルの名をモデルにつけたのでしょうか。

よく知られているのは、1930年代後半にポルトガルの時計商から、高精度の懐中時計用ムーブメントを腕時計に搭載してほしいという依頼があったことを起源とする説です。

そこから、後に「ポルトギーゼ」と呼ばれる系譜につながったとされています。

ただし、こうしたモデルの起源には後年整理された物語も少なくありません。細かな経緯については、「そう伝えられている」という程度に捉えておくのがよさそうです。

それでも、大ぶりなケースや読みやすい文字盤、長い針といった特徴が長く受け継がれてきたのは確かです。

 

IWC ポルトギーゼ ラトラパンテ 40㎜ 1997年製 Ref.3712

IWC ポルトギーゼ ラトラパンテ 1997年製 Ref.3712 ギャラ付き スプリットセコンドクロノグラフです。

4大複雑機構(パーペチュアルカレンダーとトゥールビヨン、ミニッツリピーター、スプリットセコンド)の一つスプリットセコンド機能を搭載した手巻き式クロノグラフです。

 


ヴィンテージIWCの「読みにくさ」

ヴィンテージIWCは、少し掴みにくい市場です。

ロレックスのようにモデルや年代ごとの情報が整理されているわけではなく、一方で資料がまったくないわけでもない。

その中間にあることが、IWCならではの「読みにくさ」につながっています。

特に難しいのは、外観だけでは年代や仕様の違いを判断しにくいモデルがあること。

似たデザインでも、搭載ムーブメントや細かな仕様が異なる場合があり、その違いが評価に影響することもあります。

だからこそ、ヴィンテージIWCは見た目だけでなく、リファレンスやムーブメント、ケース、文字盤の状態まで確認しながら選びたいところです。

なかでも1950〜70年代のIWCには、細い針や控えめなインデックス、端正なケースを備えたドレスウォッチが多く見られます。

派手さではなく、静かな完成度で惹きつける。そこにヴィンテージIWCらしい魅力があります。

 

IWC ラウンドケース 18KYG 1960年製 ペラトン式自動巻き Cal.853

1960年に製造されたIWCのラウンドケースモデルです。

当時のIWCは独自の巻き上げ機構であるペラトン式自動巻きムーブメントを採用し、実用性を高めていました。

 


ヴィンテージIWCの主な系譜

ヴィンテージIWCを見るときは、細かな型番だけでなく、まず代表的な系譜を知っておくと全体像が掴みやすくなります。

ポルトギーゼ系

大ぶりなケースと懐中時計由来のムーブメントを特徴とする系譜です。

シンプルなアラビア数字と長い針が生む端正なバランスは、初期モデルから現代まで受け継がれています。

インヂュニア系

1950年代に登場した、耐磁性能を意識した実用時計の系譜です。

機能性を備えながら主張しすぎないデザインで、スポーツウォッチとドレスウォッチの中間のような魅力があります。

マーク系(パイロットウォッチ)

視認性や操作性を重視した、IWCらしい機能美が表れる系譜です。

夜光を備えた文字盤や読み取りやすい表示など、「道具としての時計」を追求した設計が魅力です。

 

それぞれ方向性は異なりますが、華美になりすぎず、機能を形にするという点には、IWCらしい共通性が感じられます。

系譜特徴ヴィンテージとしての魅力
ポルトギーゼ大ぶりケース・懐中時計的ムーブメントドレッシーな佇まいと歴史的背景
インジュニア耐磁性能・スポーティなデザイン機能と美しさのバランス
マーク系(パイロット)高い視認性・実用的設計道具としての誠実さ

 

これらの系譜を比較してみると、IWCというブランドがいかに多様な用途と美意識を内包しているかがわかります。

ドレスウォッチとスポーツウォッチ、精密工芸と機能道具——その両方を同じ屋根の下に収めているブランドは、実はそれほど多くありません。

ヴィンテージIWCに興味を持ちはじめた方もいるかもしれません。

ポジションの「曖昧さ」がIWCを面白くする

IWCは、一言で立ち位置を説明しにくいブランドです。

高級時計でありながら、華やかさだけを前面に出すわけではない。

パイロットウォッチ、ドレスウォッチ、スポーツウォッチと、異なるジャンルにそれぞれ代表的なモデルを持っています。

この「ひとつのイメージに収まりきらないこと」が、IWCの特徴なのかもしれません。

パイロットウォッチの機能美に惹かれる人もいれば、ヴィンテージのドレスウォッチに魅力を感じる人もいる。

インヂュニアのような実用時計から入る人もいます。

一方で、その多様さがヴィンテージ市場の分かりにくさにもつながります。

モデルごとに評価軸が異なり、「IWCならこれ」というひとつの基準では整理しにくいからです。

正体をひとつに絞れないからこそ、掘り下げたくなる。そんな曖昧さも、IWCというブランドの魅力ではないでしょうか。

 

IWC ラウンド 1973年製 ホワイトローマン Cal.403 薄型手巻き 純正尾錠

1973年に製造されたIWCのラウンドモデル、リファレンス1410です。1970年代は時計業界が大きな転換期を迎えた時代ですが、

IWCは伝統的な機械式時計の製造を続けていました。このモデルも当時のIWCが持つ技術力とシンプルなデザイン哲学を反映したヴィンテージ時計となっています。

 


IWCをめぐる「謎」はなぜ魅力になるのか

ここまで見てきたように、IWCにはひとことで説明しきれない部分が多くあります。

ブランド名の背景、モデル名の由来、多彩なコレクション、そしてヴィンテージの奥深さ。

簡単に答えが出ないからこそ、もっと知りたくなる。それもIWCの魅力なのかもしれません。

時計は、スペックや価格だけで選ぶものではありません。

調べるほど興味が深まり、「このブランドと長く付き合いたい」と思えるかどうかも、大切な選択基準です。

IWCには、見るたび、知るたびに新しい発見があります。

すぐには掴みきれない。その余白こそが、IWCを長く楽しめる理由のひとつではないでしょうか。


こんな方におすすめしたい

「シンプルだけど地味すぎない時計」を探している方

IWCのドレスウォッチ系は、余計な装飾がなく一見地味に見えるが、手元に着けると質感と存在感が静かに主張する。表面的なシンプルさの奥に深みがある時計を探している男性に向いている。

時計の「背景」を楽しみたいコレクター志向の方

ポルトギーゼの名前の由来、シャフハウゼンという土地の歴史、創業の経緯——IWCは時計そのものだけでなく、その背景を調べる楽しさが豊富なブランドだ。「所有しながら知的好奇心を満たしたい」という方に特に響くのではないだろうか。

ビジネスの場でもプライベートシーンでも使えるものを求めている方

パイロットウォッチ系の視認性の高さとケースの堅牢さ、ドレスウォッチ系の品のよさ——IWCはどちらの要素も持つモデルを揃えているブランドだ。スーツにもカジュアルにも合わせやすい一本を探している方に検討してほしい。


よくある質問

Q. IWCのヴィンテージ時計は初心者でも購入して大丈夫ですか?

A. ヴィンテージ時計全般にいえることですが、状態の見極めと信頼できる販売店からの購入が前提になります。IWCはメンテナンスを受け付けてくれる正規サービスがある点では安心感がありますが、ヴィンテージ個体によっては対応の可否が変わることもあります。最初の一本としてヴィンテージを選ぶ場合は、コンディションが良好で整備済みの個体を選ぶことをおすすめします。

Q.IWCは手巻と自動巻どちらのモデルがオススメですか?

A. どちらもおすすめです!手巻きなら、IWCを代表する名機「Cal.89」。美しい仕上げと耐久性も優れており、ヴィンテージIWCらしい魅力を楽しめます。自動巻きなら、IWC独自の「ペラトン式自動巻き機構」を搭載した「Cal.85系」モデルがおすすめ。高い巻き上げ効率とIWCらしい技術力を感じられます。手巻きと自動巻き、それぞれにIWCならではの魅力がありますので、好みや使い方に合わせて選ぶのがおすすめです。

Q. ヴィンテージIWCを購入するとき、どのモデル系統から入るのがよいですか?

A. 好みによりますが、まず自分が「ドレス系」と「スポーツ/ツール系」のどちらに惹かれるかを確認するとよいでしょう。ドレス系であればポルトギーゼやクラシックなラウンドケースのモデル、スポーツ・ツール系であればパイロットウォッチ(マーク系)が入口として取り組みやすい傾向があります。実物を見て、自分の手元にのせたときの感覚を確かめることが一番重要です。


まとめ

IWCについて考えてみると、すべての疑問に明確な答えが見つかるわけではありません。

ブランド名の背景、ポルトギーゼの由来、ヴィンテージ市場の読みにくさ、ひとことで説明しにくいブランドの立ち位置。

その掴みきれなさこそが、IWCの面白さなのかもしれません。

調べるほど新しい疑問が生まれ、実際に時計を手にすると、また違った魅力が見えてくる。毎日身につける時計だからこそ、長く興味を持ち続けられることも大切です。

IWCに惹かれる理由は人それぞれ。それでも、「なんとなく気になる」から始まる一本があってもいいのではないでしょうか。

この記事を読んで気になった方は、ぜひFIRE KIDSでヴィンテージIWCを実際に見てみてください。

writer

ranking