腕時計の基本「クロノグラフ」とは? 初心者向けに歴史や種類を分かりやすく解説

2024.05.19
Written by 編集部

聞いたことはあってもどんなパーツなのか、どんな機能なのか分からないことも多い腕時計の専門用語。今回は、腕時計の基礎知識講座「クロノグラフ」について解説する。初級編ということで、腕時計購入を検討している方や初心者の方は参考にしてみてほしい。

「クロノグラフの歴史」時間計測機能を備えた実用時計

「クロノグラフ」とは、時計の一種で、時間を計測するストップウォッチ機能を備えた腕時計・懐中時計のことを言う。ギリシャ語のchronos(時間)とgraph(書く)に由来している。

「いつクロノグラフができたんですか?」(宮崎さん)

「まず懐中時計が出たのが、1800年代の前半くらいだったと思います。最初は結構特殊なものだったんですけど、見た目的にはもうだいぶ現代に近い感じでした」(野村店長)

「大量に作られるようになったのが1800年代後半。戦争で使われるようになり、クロノグラフも普及するようになりました。腕時計化されたのは1910年代に入ってからですかね。最初はロンジンと言われています」(野村店長)

長年に渡りブライトリングが世界初のクロノグラフを作ったと公言していたが、どうやら近年では、1913年にロンジンが初めてクロノグラフ腕時計を作ったのが、腕時計用クロノグラフの始まりと言われている。

「クロノグラフの種類」代表的な4つを紹介

クロノグラフを搭載したモデルはさまざまなブランドから出ていることもあり、多くの種類が存在する。今回は、代表的なクロノグラフの種類をチェックしていく。

1.フライバック・クロノグラフ

「フライバックは計測をまず開始します、計測は続けるけど、ひと押しで再計測に移れるタイプですね。普通だと、スタート→ストップ→リセットという形ですけれども、フライバックの場合は、最初から測り直しがワンプッシュで出来るようになっているタイプですよね」(野村店長)

「なぜこのフライバック機能が付くようになったんですか?」(宮崎さん)

「複雑な操作が出来ない状況の人が、再計測という形でやるためなんでしょうけどね。やはりパイロットとかそういった人向けなのかなと」(野村店長)

2.ワンプッシュ・クロノグラフ

基本的に、2時位置と4時位置にプッシュボタンがあるフライバック・クロノグラフと違い、1時と2時の間くらいにプッシュボタンが1つしかないタイプだ。スタート・ストップ・リセットの操作を1つのボタンで実行することができる。

「初期の頃は、ワンプッシュしかなかった。ワンプッシュのタイプでもリューズの上にボタンが付いてるタイプだとか、別の位置にプッシュボタンが1つ付いているタイプとか色々あります」(野村店長)

「1回押すとスタート、計測開始で2回目押すとストップ、3回目押すとまた0の位置に戻る」(野村店長)

3.スプリットセコンド・クロノグラフ

「スプリットセコンド」は読んで字の如く「割れる秒針」ということで、複数の計測を同時に行うことができる特殊なタイプだ。

「1着・2着や1周目・2周目、そういったものを測る時に使えるクロノグラフ。1周目が終わったところで1本の針を止めて、もう1本は計測を継続させるという形。だから1回そこで記録をしたら、針を追いつかせて2周目以降も同じ動作で。超複雑機構みたいな」(野村店長)

「スプリットセコンドは2本がマックスですか?」(宮崎さん)

「一応2本だね」(野村店長)

4.レガッタ・クロノグラフ

セーリング競技やヨットレースに特化した「レガッタ・クロノグラフ」は、カウントダウン機能などを備えているため、競技において重要なタイミング管理に役立つ。

「あまり一般的ではないけど、ヨットとかの競技用のタイプ。5分を分かりやすくするために窓を5つ開けて色を変えていくというね。競技に特化したタイプだよね」(野村店長)

「クロノグラフは色々種類がありましたが、通じているのは実用性というか、実用時計として色んな機能が付いてると」(宮崎さん)

「パイロットであるとか、カーレーサーであるとか、それを計測する人、そういった仕事で必要としてる人向けですよね」(野村店長)

「スケールの種類」代表的なスケールを3つ紹介

次は「スケールというのは、ベゼルとか、ダイヤルに書いてあるメモリのことですかね」ということで、クロノグラフの代表的なスケールを3種類見ていく。

「1番一般的なのは『タキメーター』ですね」(野村店長)

「代表的な例で言うと、スピードマスター プロフェッショナルですね。タキメーターは何を測るメーターなんですか?」(宮崎さん)

「多く言われるのは時速計算用で、あとは生産管理に使えたりとか。『よーいドン』でスタートして1km通過した時にストップボタンを押す」(野村店長)

「その時にメーターを指しているところが平均時速になると」(宮崎さん)

オメガの『スピードマスタープロフェッショナル5thモデル』。1984年製で下がりr文字盤の5thは非常に珍しく、タキメーターをダイヤルではなく外周ベゼル上に配した世界初めてのモデルと言われている。

「次は『テレメーター』何か知っている?」(野村店長)

「よくあるのが花火とか、光ってから音が届くまでの時間を計測すると、その距離が分かるという」(宮崎さん)

「どんな使い方をするかというと、ほとんど軍隊だろうね。発砲した時から着弾までを測ったり、距離をしっかり測ることによって照準だったりとか、そういったのを修正したりとか」(野村店長)

距離を測る道具も充実している現代では、光と音の時間差を使って距離を割り出すという腕時計機能の必要性は残念ながら少ない。

「3つ目は『パルスメーター』心拍ですかね?」(宮崎さん)

「その通り、医療関係者向け」(野村店長)

珍しいパルスメーターモデルであるセイコーの『5スポーツ スピードタイマー』。2時位置のボタンでスタート・ストップ、4時位置でリセットすることで脈拍数が読み取れるダイヤルだ。

「こんなスポーティーなデザインで医療関係者向けという感じでもないので、スポーツをやる人たちも含めているのかもしれない」(野村店長)

「走り終わった後の心拍数とかを測る時とかにも使えますね」(宮崎さん)

「こんな便利な世の中でわざわざ腕時計にストップウォッチ機能を付ける必要があるのかと言えばないのですが、でもたまらなくカッコいい」(野村店長)

「無駄な機能」と言われがちなクロノグラフ機能だが、「その無駄が良いんです」と野村店長。また「クロノグラフは押さないのが1番壊れない」と言われており、操作については押すなら押す、押さないなら押さない、中途半端に使ってしまうと1番負担をかけると言う。

いまだにたくさんのファンがいる時間計測機能を備えたクロノグラフ。現代では不要な機能かもしれないが「無駄を楽しむ」くらいの気持ちで手にとってみると面白いかもしれない。

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