ロレックス Cal.1570完全ガイド|「名機」と呼ばれるヴィンテージムーブメントの真価

2026.03.21
最終更新日時:2026.03.21
Written by 編集部

ロレックス Cal.1570は、1960年代後半から1980年代にかけてロレックスの主力モデルに搭載された自動巻きムーブメントです。ハック機能(秒針停止機能)を備え、精度と耐久性に優れたこのキャリバーは、ヴィンテージロレックスを代表する名機として知られています。

デイトジャスト、サンダーバード、オイスターパーペチュアルデイト、エクスプローラーなど、ロレックスの主要モデルに幅広く搭載されたCal.1570。この記事では、Cal.1570の技術的特徴と、搭載モデルの選び方を解説します。

ロレックス デイトジャスト Ref.1603 Cal.1570搭載モデル

Cal.1570の基本スペック

項目スペック
種類自動巻き
石数26石
振動数19,800振動/時(5.5ヘルツ)
パワーリザーブ約48時間
ハック機能あり(秒針停止)
日付表示あり
製造年代1960年代後半〜1980年代
後継Cal.3035 / Cal.3135

Cal.1570の系譜:Cal.1560からの進化

Cal.1560とCal.1570の関係

Cal.1570の前身であるCal.1560は、ハック機能を持たないムーブメントでした。Cal.1570はこのCal.1560にハック機能を追加したアップグレード版です。同じRef.1500でも、初期モデル(1961年製)にはCal.1560が搭載され、後期モデル(1968年製)にはCal.1570が搭載されています。

Cal.1500番台ファミリー

Cal.ハック機能搭載モデル例
Cal.1530なしサブマリーナ(初期)
Cal.1560なしデイトジャスト、パーペチュアルデイト(前期)
Cal.1570ありデイトジャスト、サンダーバード、パーペチュアルデイト(後期)
Cal.1575あり+GMTGMTマスター
Cal.1555/1556ありデイデイト(曜日+日付)

Cal.1575はCal.1570にGMT(第2時間帯)表示機能を追加したバリエーションで、基本構造はCal.1570と共通しています。デイデイトにはCal.1555(初期)/Cal.1556(後期)が搭載されていました。

Cal.1570が搭載された主要モデル

デイトジャスト(Ref.1601)

Cal.1570が最も多く搭載されたモデルがデイトジャストです。ホワイトゴールド製のフルーテッドベゼルが高級感のあるデザインを演出し、フルーテッドベゼル+ジュビリーブレスレットの定番スタイルで幅広い文字盤バリエーションが楽しめます。シルバー文字盤がパープルに経年変化したものなど、年代や仕様による表情の違いも魅力です。

サンダーバード(Ref.1625)

ロレックス サンダーバード Ref.1625 Cal.1570搭載モデル

回転ベゼル付きデイトジャストのサンダーバード。Ref.1625の後期モデルにCal.1570が搭載されています。グレー文字盤は大変珍しい仕様で、ハック付きのCal.1570による実用性の高さも特長です。

オイスターパーペチュアルデイト(Ref.1500, 1501)

ロレックス オイスターパーペチュアル Ref.1500 Cal.1570搭載モデル

スムースベゼル+オイスターブレスレットのシンプルなパーペチュアルデイト。Ref.1500はクロノメーターキャリバーCal.1570を搭載しており、純正リベットブレス付きの仕様も存在します。デイトジャストの実用性をカジュアルな装いで楽しめるモデルです。

Ref.1501はエンジンターンドベゼルが特徴で、1966年製にはオレンジ色に焼けたトロピカルダイヤルの個体も存在します。

デイトジャスト 14金無垢(Ref.1601)

Ref.1601には金無垢モデルも存在します。一般的に金無垢モデルはデイデイトの方が流通量が多く、デイトジャストの金無垢はとても希少なモデルです。Cal.1570を搭載しています。

Cal.1570が「名機」と呼ばれる理由

理由1:ハック機能の実用性

秒針を停止させて正確に時刻を合わせるハック機能は、Cal.1570の最大のアドバンテージです。Cal.1560以前のムーブメントではこの機能がなく、秒単位の正確な時刻合わせが困難でした。

理由2:抜群の耐久性

Cal.1570は、製造から40〜60年が経過した現在でも安定して稼働する個体が非常に多いムーブメントです。多くの個体で手巻きや針回しの操作がスムーズに行える状態を保っており、このムーブメントの耐久性の高さを示しています。

理由3:適度な振動数

19,800振動/時(5.5ヘルツ)という振動数は、現代の28,800振動/時と比べると低いものの、パーツへの負荷が低く長寿命を実現しています。この振動数が生む穏やかな秒針の動きを好むファンも多く、ヴィンテージならではの味わいです。

理由4:パーツの入手性

長期間にわたって大量に製造されたCal.1570は、交換パーツの入手が比較的容易です。ヴィンテージ専門の時計師でもメンテナンスが可能であり、長期的な維持管理がしやすいムーブメントといえます。

Cal.1570搭載モデルの選び方

モデル別比較テーブル

モデルRef.ベゼルブレスレット特徴
デイトジャスト1601フルーテッド(WG/YG)ジュビリー最もクラシックな組み合わせ
サンダーバード1625エンジンターンド(回転式)ジュビリー/オイスター回転ベゼル付きの個性派
パーペチュアルデイト1500スムースオイスター/リベットシンプルでカジュアル
パーペチュアルデイト1501エンジンターンドオイスター/リベットベゼルのテクスチャーが魅力

ポイント1:Cal.1560との区別

外見が同じモデルでも、前期型はCal.1560(ハックなし)、後期型はCal.1570(ハックあり)が搭載されている場合があります。ハック機能を重視する場合は、搭載キャリバーの記載を確認しましょう。

ポイント2:ムーブメントの状態を確認

  • オーバーホール履歴:オーバーホール済みであるか
  • 操作性:手巻きや針回しの操作がスムーズであるか
  • ハック機能の動作:リューズを引いた時に秒針が確実に停止するか

ポイント3:後継Cal.3035/3135との比較

項目Cal.1570Cal.3035Cal.3135
導入年1960年代後半1977年1988年
振動数19,800振動/時28,800振動/時28,800振動/時
日付変更遅送りクイックチェンジクイックチェンジ
雰囲気ヴィンテージセミヴィンテージ現行に近い

Cal.1570のクラシカルな「遅送り」日付変更や19,800振動の穏やかな秒針の動きを好むファンも多く、どちらが優れているかは好みの問題です。

よくある質問

Q: Cal.1570のオーバーホール費用はどのくらいですか?

A: 時計師や工房によりますが、一般的なオーバーホール費用は3〜6万円程度が目安です。パーツ交換が必要な場合は追加費用がかかります。ヴィンテージに精通した専門の時計師への依頼が確実です。

Q: Cal.1570はCOSC認定クロノメーターですか?

A: デイトジャストなどに搭載されたCal.1570はCOSCクロノメーター認定を受けた個体が多いですが、すべてのCal.1570搭載モデルがクロノメーターというわけではありません。文字盤に「SUPERLATIVE CHRONOMETER OFFICIALLY CERTIFIED」の表記があるかを確認してください。

Q: Cal.1570とCal.1575の違いは何ですか?

A: Cal.1575はCal.1570にGMT(第2時間帯)表示機能を追加したバリエーションです。GMTマスターに搭載されました。基本構造はCal.1570と共通しているため、信頼性や耐久性は同等です。

Q: Cal.1570搭載モデルで最も手頃なのはどれですか?

A: オイスターパーペチュアルデイトのRef.1500やRef.1501が、Cal.1570搭載モデルの中では比較的手頃な価格帯です。デイトジャストRef.1601と同じムーブメントながら、スムースベゼル+オイスターブレスレットのシンプルな仕様で、カジュアルに楽しめます。

まとめ

ロレックス Cal.1570は、ハック機能・耐久性・メンテナンス性という三拍子を揃えた「名機」です。1960年代後半〜1980年代のロレックス主力モデルを支え、製造から半世紀以上を経た今も安定稼働する信頼性は、ロレックスの技術力の証です。ヴィンテージロレックスの「最も実用的な入口」といえるでしょう。

Cal.1570搭載のデイトジャスト、サンダーバード、パーペチュアルデイトなど、幅広いモデルからお好みの一本をお探しください。

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