ロレックス GMTマスター Ref.1675 ペプシ・コーク解説

2026.04.06
最終更新日時:2026.04.06
Written by 編集部

ロレックス GMTマスターは、1950年代にパンアメリカン航空の要請を受けて開発された、2つのタイムゾーンを同時に表示できるパイロットウォッチです。そのなかでもRef.1675は1959年から1979年まで約20年間にわたって製造された、GMTマスター史上最長のロングセラーモデルとして知られています。

この記事では、Ref.1675の歴史と特徴を軸に、愛称で親しまれるベゼルバリエーション、搭載キャリバーCal.1570の仕様、多彩なダイヤルバリエーション、そして年代別の見分け方を解説します。GMTマスターに関心のある時計愛好家の方にとって、理解を深める一助となれば幸いです。

Ref.1675の歴史 — Ref.6542からの進化

ロレックス GMTマスター Ref.1675 ペプシ・コーク解説

GMTマスターの初代モデルは、1955年に登場したRef.6542です。パンアメリカン航空のパイロット向けに開発されたこのモデルは、38mmのオイスターケースに24時間表示の回転ベゼル、そして赤い24時間針を備えていました。しかしRef.6542のベゼルにはラジウムを含むベークライト素材が使用されており、放射性の問題やひび割れが生じやすいという課題がありました。

1959年、ロレックスはRef.6542に代わる新リファレンスとしてRef.1675を発表しました。最大の改良点はベゼル素材がベークライトからアルミニウムに変更された点で、耐久性と安全性が大きく向上しています。Ref.1675は1979年まで製造が続けられ、GMTマスター史上最も長い製造期間を誇るリファレンスとなりました。製造期間が長いだけに、その間に多くのバリエーションが生まれています。

ベゼルバリエーション — ペプシとコーク

Ref.1675のベゼルはアルミニウム製のインサートで、経年によって独特の褪色(フェード)が生じることでも知られています。主なカラーバリエーションは以下のとおりです。

愛称カラー特徴
ペプシ青×赤Ref.1675の代名詞。最も生産数が多い定番カラー
ブラック黒一色1970年代に追加されたオプション
ルートビア茶×金ゴールドケースモデル(Ref.1675/3, 1675/8)に採用

「ペプシ」は青と赤の二色ベゼルで、GMTマスターを象徴するカラーリングです。青が夜間(18時〜6時)、赤が昼間(6時〜18時)を表し、第2タイムゾーンの昼夜を直感的に判別できる実用的なデザインです。

アルミニウムベゼルは使用環境や紫外線の影響により褪色が進み、青が紫やグレーに、赤がピンクやオレンジに変化することがあります。この褪色具合が個体ごとの個性となり、ヴィンテージとしての魅力を高めています。

キャリバー Cal.1570 の仕様

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Ref.1675に搭載されるムーブメントは、Cal.1570です。

項目仕様
キャリバーCal.1570(初期はCal.1560)
巻き方式自動巻き
振動数19,800振動/時(2.75Hz)(Cal.1560は18,000振動/時)
石数25石
直径28.2mm
厚さ6.3mm
パワーリザーブ約48時間
機能時・分・秒・日付・GMT(24時間針)

Cal.1570の前身にあたるCal.1560は18,000振動/時で駆動していましたが、Cal.1570へと移行し、振動数が19,800振動/時に引き上げられました。さらに1970年頃には秒針停止機能(ハック機能)が追加され、時刻合わせの精度が向上しています。

ダイヤルバリエーション

Ref.1675は約21年の製造期間中に、大きく分けて2つの世代のダイヤルが存在します。

ギルトダイヤル(1959年〜1966年頃)

製造初期のRef.1675に見られるダイヤルで、光沢のある漆黒の表面にゴールド(金色)の文字が特徴です。

ギルトダイヤルは光の当たり方によって表情が変わる美しさを持ち、夜光が経年でクリーム色やアイボリーに変化した個体は特に人気があります。

マットダイヤル(1968年頃〜1979年)

1968年頃からギルトダイヤルに代わって採用されたのがマットダイヤルです。光沢を抑えたつや消し仕上げで、より実用的で視認性の高い外観が特徴です。

マットダイヤルには細かなバリエーションが存在し、文字の書体やレイアウトの微妙な違いによって分類されています。

ニップルダイヤル(ゴールド・コンビモデル)

Ref.1675/8(無垢ゴールド)やRef.1675/3(コンビ)といった貴金属モデルには、「ニップルダイヤル」と呼ばれる独特のダイヤルが採用されています。円錐形のアワーマーカーの中央に小さな夜光ドットが配された立体的なデザインが特徴です。

年代別の特徴と見分け方

Ref.1675は製造期間が長いため、年代によって仕様が異なります。主な変遷を整理します。

年代主な特徴
1959年〜1967年頃ギルトダイヤル Cal.1560、Cal.1570
1968年〜1979年頃マットダイヤル Cal.1570

ブレスレットもサブマリーナ同様に年代によって変遷しており、初期のリベットブレスから巻きブレス、そして後期のハードブレス(オイスターブレス)へと進化しています。

選び方のポイント

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Ref.1675を選ぶ際に注目したいポイントをいくつかご紹介します。

ベゼルカラーの選択: カラーにより印象が大きく異なります。ペプシはGMTマスターの象徴として華やかさがあります。いずれもアルミニウムベゼルの褪色具合が個体の個性を決める重要な要素です。

ダイヤルの世代: ギルトダイヤルは製造初期の個体に限られるため希少性が高く、マットダイヤルは比較的流通量が多い傾向にあります。マットダイヤルのなかでも細かな違いがあり、コレクターの間では特定の書体が好まれることもあります。

ハック機能の有無: 1970年頃を境に、Cal.1570にハック機能(秒針停止)が追加されています。実用面を重視する場合はハック機能付きの後期型が便利です。

全体のコンディション: ケースの研磨状態、ブレスレットの伸びや交換歴など、総合的なコンディションの確認が大切です。

よくある質問

Q: ペプシベゼルとコークベゼルの違いは何ですか?

A: ペプシベゼルは青と赤の二色で、GMTマスターの代表的なカラーリングです。コークベゼルは黒と赤の二色で、1983年頃からのRef.16760から見られるバリエーションです。いずれもアルミニウム製のベゼルインサートで、経年により独特の褪色が生じます。

Q: Ref.1675の前身モデルは何ですか?

A: GMTマスターの初代モデルはRef.6542(1955年〜1959年)です。パンアメリカン航空との協力で開発されましたが、ベークライト製ベゼルの放射性と耐久性の問題があり、アルミニウムベゼルに改良されたRef.1675へと進化しました。

Q: Ref.1675の後継モデルは何ですか?

A: 1980年頃に登場したRef.16750です。外観はRef.1675とほぼ同一ですが、Cal.3075を搭載しクイックセットデイト機能が追加されました。また振動数が28,800振動/時に向上し、防水性能も50mから100mに強化されています。

まとめ

Ref.1675は1959年から1979年まで約20年間にわたって製造された、GMTマスター史上最長のロングセラーモデルです。前身のRef.6542が抱えていたベークライトベゼルの問題を解決し、アルミニウムベゼルの採用によって実用性と耐久性を高めました。

ペプシやブラックといったベゼルカラー、ギルトからマットへと変遷するダイヤル、ハック機能の追加など、長い製造期間のなかで数多くのバリエーションが生まれた点がこのリファレンスの大きな魅力です。年代やバリエーションの違いを知ることで、一本一本の個体への理解がより深まるのではないでしょうか。

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