グランドセイコー 56GS Cal.5641・5645・5646 中期型ガイド

2026.05.11
最終更新日時:2026.08.10


1971年から1972年にかけて製造された56GS(ゴーロクジーエス)は、グランドセイコーの中でも実用性を重視したシリーズのひとつです。28,800振動/時の自動巻きムーブメントを搭載し、セイコースタイルを取り入れたケースデザイン、豊富な文字盤バリエーション、そしてデイト・デイデイト・ノンデイトという3種類のカレンダー構成を備えていました。


この記事では、56GSに搭載された3つのキャリバー(Cal.5645・Cal.5646・Cal.5641)の違いと、リファレンスごとの特徴を解説します。既にグランドセイコーに関心のある時計愛好家の方に向けた内容です。



56GSとは何か。グランドセイコー中期型の位置づけ

グランドセイコー 56GS ヴィンテージ

グランドセイコーは1960年の初代モデル誕生以降、精度や実用性を追求しながら世代を重ねてきました。1960年代後半には、45GSや61GSといった36,000振動/時のモデルが登場。その後に展開された56GSは、28,800振動/時の自動巻きムーブメントを採用したシリーズです。

56GSに搭載された56系ムーブメントは、毎時28,800振動(1秒間に8振動)で作動します。56GSにはデイト、デイデイト、ノンデイトが用意され、ケースや文字盤にも複数のバリエーションが存在します。

ケースサイズはモデルによって異なりますが、35〜36mm前後の比較的コンパクトなモデルも多く、ヴィンテージグランドセイコーらしい端正なサイズ感を楽しめることも特徴です。


3つのキャリバーの違い:Cal.5645・Cal.5646・Cal.5641

56GSには、カレンダー機能の異なる3種類のキャリバーが存在します。いずれも自動巻き・25石・28,800振動/時を基本としながら、表示機能に違いがあります。

Cal.5645 / Cal.5645A:デイト(日付)付き

グランドセイコー 56GS Cal.5645 デイトモデル

Cal.5645は、3時位置にデイト(日付)表示を備えたキャリバーです。

秒針停止機構やカレンダーの早送り機構を備え、日常での使いやすさを考慮した設計となっています。シンプルな三針に日付表示を加えた構成で、56GSを代表する仕様のひとつです。

代表的なリファレンスとしてRef.5645-7010などが挙げられます。

Cal.5646 / Cal.5646A:デイデイト(日付・曜日)付き

Cal.5646は、日付に加えて曜日表示を備えたデイデイト仕様です。

Cal.5645と同じく28,800振動/時で作動する自動巻きムーブメントで、より多くのカレンダー情報を確認できる実用的な仕様となっています。

代表的なリファレンスには、Ref.5646-7010や18金無垢ケースを採用したRef.5646-7005などがあります。

Cal.5641:ノンデイト

Cal.5641は、カレンダー表示を持たないノンデイト仕様です。

文字盤に日付や曜日の窓がないため、左右のバランスが整ったシンプルなデザインを楽しめます。自動巻き・25石・28,800振動/時という基本仕様は、Cal.5645やCal.5646と共通しています。

代表的なリファレンスとしてRef.5641-7000などが挙げられます。

3キャリバー比較

項目Cal.5645Cal.5646Cal.5641
駆動方式自動巻き自動巻き自動巻き
石数25石25石25石
振動数28,800振動/時28,800振動/時28,800振動/時
カレンダーデイト(日付)デイデイト(日付・曜日)なし
ハック機能ありありあり
製造開始1970年〜1970年〜1970年〜

ケースバリエーション:ラウンドからバレル型まで

グランドセイコー 56GS ラウンドケース ステンレス

56GSは、グランドセイコーの中でもケース形状のバリエーションが豊富なシリーズです。

ラウンドケース(Ref.5645-7010 / Ref.5646-7010 / Ref.5641-7000)

56GSの主流を占めるのが、セイコースタイルを継承したラウンドケースです。エッジの効いたステンレス製のケースに、シャープなカットのインデックスと針を組み合わせたデザインが特徴です。ケースサイズは35〜36mmで、当時のドレスウォッチとして標準的なサイズ感です。

バレル型ケース(Ref.5646-5010)

56GSには、ラウンドケースとは大きく異なるバレル型(トノー型)ケースのモデルも存在します。Ref.5646-5010はCal.5646Aを搭載したデイデイトモデルで、グランドセイコーとしては珍しい個性的なケース形状を持っています。ラウンドケースの56GSとは異なる印象を与えるモデルです。

18金無垢ケース(Ref.5646-7005)

Ref.5646-7005は、18金無垢(18KYG)ケースを採用したモデルです。Cal.5646Aを搭載したデイデイト仕様で、ゴールドのバーインデックスとの調和が特徴です。裏蓋には18金を示す刻印が施されています。ステンレスモデルとは異なる重厚な雰囲気を持つモデルです。


文字盤バリエーション:56GSの多彩な顔

56GSは、同じリファレンスでも文字盤のバリエーションが豊富に存在する点が特徴です。

アイボリー / シルバー文字盤

56GSで最も多く見られるのがアイボリーやシルバー系の文字盤です。バーインデックスとの組み合わせが正統的なグランドセイコーの表情を作り出しています。Ref.5645-7010やRef.5646-7010で広く展開されました。

ネイビー文字盤

深いネイビーブルーの文字盤を持つバリエーションも存在します。Ref.5645-7010などで確認でき、アイボリーやシルバーとは異なる落ち着いた印象を与えます。

グラデーション文字盤

バレル型ケースのRef.5646-5010には、グラデーション仕様の文字盤が存在します。通常のグランドセイコーとは異なる個性的な表情を持つバリエーションです。


裏蓋メダリオンとGS刻印

56GSを選ぶ際には、文字盤やケースだけでなく、裏蓋やリューズなどのディテールも確認しておきたいポイントです。

モデルによっては裏蓋にGSを示す意匠が施されており、その状態は個体のコンディションを見る際の判断材料のひとつになります。

また、リューズなどの外装部品についても、交換の有無や状態によって個体の印象は変わります。

ヴィンテージ時計は長い年月のなかで修理や部品交換を受けている可能性があるため、一部分だけでオリジナル性を断定せず、時計全体の状態を確認することが重要です。


よくある質問(FAQ)

Q.56GSの振動数はどのくらいですか?

A. 56GSに搭載されるCal.5645・Cal.5646・Cal.5641は、28,800振動/時(1秒間に8振動)で作動します。36,000振動/時ではありません。グランドセイコーでは、45GSや61GSなどに36,000振動/時のムーブメントが採用されており、56GSとはこの点で仕様が異なります。

Q.Cal.5645とCal.5646の違いは何ですか?

A. 主な違いはカレンダー表示です。Cal.5645はデイト(日付)、Cal.5646はデイデイト(日付・曜日)を備えています。どちらも自動巻き・25石・28,800振動/時を基本とする56系ムーブメントです。

Q.56GSと61GSの違いを教えてください。

A. 大きな違いのひとつがムーブメントの振動数です。61GSに搭載されたCal.6145・Cal.6146は36,000振動/時(10振動/秒)であるのに対し、56GSのCal.5645・Cal.5646・Cal.5641は28,800振動/時(8振動/秒)です。そのため、56GSを61GSと同じ「36,000振動のハイビート」として扱わないよう注意が必要です。

Q.56GSのメンテナンスで注意すべき点はありますか?

A. 56GSは製造から半世紀ほど経過しているため、振動数だけでメンテナンス性を判断するのではなく、個体ごとの状態を確認することが重要です。ムーブメントの摩耗や過去の修理歴、カレンダー機構の状態などによって必要な整備内容は異なります。購入時には整備状況を確認し、ヴィンテージ時計の修理経験を持つ専門店や時計修理技術者へ相談すると安心です。


まとめ:56GSは「実用性の頂点」を体現したグランドセイコー

56GSは、28,800振動/時の自動巻きムーブメントを搭載し、デイト・デイデイト・ノンデイトという3種類の仕様や、多彩なケース・文字盤のバリエーションを展開したシリーズです。

36,000振動/時を採用した45GSや61GSとは異なる方向性を持ちながら、日常で扱いやすい機能とグランドセイコーらしいデザインを両立しています。

Cal.5645、Cal.5646、Cal.5641の違いを知り、ケースや文字盤のバリエーションまで見比べていくと、56GSというシリーズの奥深さがより見えてくるのではないでしょうか。

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