“オールドインター”を代表する耐磁時計IWC『インヂュニア』

2024.05.07

文=戸叶庸之

耐磁時計としての性能はもちろん、歴史的な自動巻きムーブメント、優れた耐衝撃性や防水性を持つ、IWCの傑作『インヂュニア』のファーストジェネレーションを紹介。

IWC 「インヂュニア」 Ref.666AD(1961年製) Cal.8531 ステンレススチールケース 36mm径  ¥698,000

雰囲気抜群の『インヂュニア』のファーストジェネレーション

ヴィンテージマニアたちから親しみを込めて、“オールドインター”と呼ばれるIWC(インターナショナル・ウォッチ・カンパニー)。

数ある選択肢がある中で“オールドインター”を象徴する時計として真っ先に挙がるのが、IWCが誇る耐磁時計『インヂュニア』だろう。1955年に発表されたファーストモデルは耐磁性に加えて、圧倒的に優れたカム、高い耐衝撃性や防水性能を備えていたため、今でも現役で活躍できる個体が多い。

『インヂュニア』は70年近く製造されていた時計であり、姿・形を変え続けることで生き延びてきた。つまり、時代ごとの顔があるわけだ。

有名どころだと、1976年に「時計界のピカソ」と称される鬼才ジェラルド・ジェンタがデザインを手がけた『インヂュニアSL』がある。この時計は、オーデマ ピゲの『ロイヤル オーク』、パテック フィリップの『ノーチラス』と並び、元祖ラグジュアリースポーツウォッチとして、この時代を作った顔役である。2023年には、リデザインされた『インヂュニア・オートマティック 40』が登場した。

ファーストモデルの系譜に連なる1961年製の『インヂュニア Ref.666AD』について解説する。

“オールドインター”らしい頑丈な作りの1本はすべてがタフであり、パーツ類やディテールをチェックしていこう。耐磁性の要となるのが軟鉄製耐磁インナーケース。これがムーブメントを覆うことで対磁性能を高めている。

自動巻きムーブメントCal.8531は、歴史的な傑作に数えられる“ペラトン式自動巻き”であり、精度や耐久性において非常に信頼性が高い。

リュウズには、防水性能の高さを示した魚のマークが入る。

ゲイフレアー社製のオリジナルのブレスレットが付くことも評価の対象になる。ファンにはお馴染みの魚マークの入ったリューズが付く。

アイボリーに変色したダイヤルについて述べると、デザインはファーストモデルのRef.666に限りなく近い。インデックスの内側に配した3時位置のカレンダー表示、12時位置の筆記体のブランド名の表記、6時位置モデル名のプリントなどが主な特徴に挙がる。

アイボリーに変色したダイヤルもヴィンテージウォッチならではの魅力だ

長い歴史を持つ耐磁時計『インヂュニア』の中でも、やはりファーストジェネレーションは特別な存在だ。日常使いできるヴィンテージウォッチとしても見ても大変魅力的であることを付け加えておきたい。

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