ロンジン ヴィンテージ キャリバー一覧|1940〜80年代の名機を解説

2026.05.01
最終更新日時:2026.05.01
Written by 編集部

ロンジンは1832年の創業以来、数多くの自社キャリバーを開発してきたスイスの名門ブランドです。

特に1940年代から1980年代にかけては、手巻き・自動巻き・クロノグラフと幅広いムーブメントを生み出し、ヴィンテージウォッチの世界で高い評価を受けています。

この記事では、ロンジンのヴィンテージモデルに搭載されているキャリバーを年代別・タイプ別に整理し、それぞれの特徴と代表的な搭載モデルを解説します。キャリバーの違いを知りたい方に向けた一覧ガイドです。

ロンジン ヴィンテージ キャリバー 代表機

1920〜40年代:ロンジン黎明期の手巻きキャリバー

ロンジンのヴィンテージウォッチを語るうえで欠かせないのが、1920〜40年代に生まれた初期の手巻きキャリバー群です。この時代のムーブメントは、粒金メッキの美しい仕上げや堅牢な設計で知られ、現在でもアンティークファンに根強い人気があります。

Cal.9L/Cal.9LT ── レクタンギュラー向け小型キャリバー

Cal.9Lは14金無垢のレクタンギュラーケースなどに搭載された小型の手巻きキャリバーです。1940年代の角型モデルに多く見られます。Cal.9LTはそのバリエーションで、レクタンギュラーケースの10KGF(金張り)モデルに搭載されています。小ぶりなケースに収まるコンパクトな設計が特徴です。

Cal.10L/Cal.10.68Z ── トレタケ・ウィームスの名機

Cal.10Lはトレタケやウィームスなど、ロンジンを代表するヴィンテージモデルに搭載された手巻きキャリバーです。トレタケでは3つ爪のスクリューバックケースとステップベゼルの組み合わせに搭載され、ブレゲ数字やブルースチール針と相まってアンティーク感・ミリタリーウォッチ感を演出しています。ウィームスではウィームス大佐が考案した回転ベゼルを備えたパイロットウォッチに採用されています。

Cal.10.68Zはスモールセコンド仕様のキャリバーで、トレタケの1942年製モデルなどに搭載されています。ステップベゼルとアラビアインデックスの組み合わせで、ミリタリー感のある時計に多く採用されました。

Cal.11.84N ── 1920年代の希少キャリバー

Cal.11.84Nは1920年代製の9金無垢ケースに搭載された手巻きキャリバーです。ポーセリン(陶器)ダイヤルにローマンインデックス、ブレゲ針という組み合わせのアンティークウォッチに見られ、この時代ならではの古典的な魅力を持つムーブメントです。


1930〜50年代:Cal.12.68系 ── ロンジンの代名詞

ロンジンのヴィンテージキャリバーの中でも最も広く知られているのがCal.12.68系です。1930年代から1950年代にかけて多くのモデルに搭載され、ロンジンの黄金時代を支えたムーブメントファミリーです。

Cal.12.68Z ── 最多搭載のスモールセコンド手巻き

Cal.12.68Zはロンジンのヴィンテージウォッチで最も多くのモデルに搭載されたキャリバーのひとつです。スモールセコンド仕様の手巻きムーブメントで、1930年代後半から1950年代末まで長期にわたって使用されました。ブルズアイダイヤル、セクターダイヤル、トレタケ、スポーツチーフ、カラトラバケースなど、多彩なモデルに採用されています。

37mmのビッグケースに搭載されたモデルでは、飛びアラビアのブルズアイダイヤルとの組み合わせが印象的です。シルバーセクターダイヤルのモデルにも搭載されており、アールデコの影響を感じるデザインとの相性が良いムーブメントです。

Cal.12.68N ── センターセコンドのセイタケ搭載機

Cal.12.68Nはセンターセコンド仕様の手巻きキャリバーで、セイタケ(Sei Tacche)を代表とするモデルに搭載されています。セイタケの35mmケースにステップベゼルの組み合わせは、アンティークファンに高い人気を誇ります。粒金メッキされた機械の美しさでも知られるキャリバーです。

Cal.12.68 ── ブルズアイの定番

Cal.12.68はCal.12.68Z/Nの基本型にあたるキャリバーで、1940年代のブルズアイダイヤルモデルなどに搭載されています。ブラックと濃いブラウンのツートンダイヤルにスモールセコンドの組み合わせは存在感があり、32mm前後のサイズ感とスクリューバックのステンレスケースを備えた堅実な仕様が特徴です。

Cal.12L/Cal.13ZN ── リンドバーグ・クロノグラフ

Cal.12Lはリンドバーグのモデルに搭載された手巻きキャリバーで、1940年代のGF(金張り)ケースのモデルに見られます。Cal.13ZNは1941年製のクロノグラフに搭載された手巻きキャリバーで、ステップベゼルにブラックダイヤルという組み合わせの希少なモデルに採用されています。

ロンジン ヴィンテージ Cal.12.68系 搭載モデル


1950〜60年代:自動巻きの台頭とコンクエスト

1950年代に入ると、ロンジンは自動巻きキャリバーを本格的に展開し始めます。コンクエストやグランドプライズといったフラッグシップモデルの登場に合わせ、高精度な自動巻きムーブメントが次々と生まれました。

Cal.19AS/Cal.19ASD ── 初期自動巻きの完成形

Cal.19ASは1950年代のオールガードなどに搭載された自動巻きキャリバーです。オールガードではブラックミラーダイヤルとの組み合わせが魅力的なモデルが存在します。Cal.19ASDはその発展型で、1959年製のコンクエストに搭載されています。ブラック文字盤にCAPゴールドケースという組み合わせのモデルに見られます。

Cal.22AS/Cal.22LS ── 1950年代の実用キャリバー

Cal.22ASは1950年代のラウンドケースのオートマチックモデルに搭載された自動巻きキャリバーです。ギョーシェダイヤルとの組み合わせが上品な印象のモデルに採用されています。Cal.22LSは同時代のセンターセコンド仕様の手巻きキャリバーで、14金無垢のUSケースモデルなどに搭載されています。

Cal.23Z/Cal.23M ── スモールセコンドの手巻き

Cal.23Zは1953年製のラウンドケースに搭載された手巻きキャリバーで、10KGFケースにスモールセコンドの仕様です。Cal.23Mは1940年代のスモールセコンドモデルに搭載され、ピンクアラビアダイヤルのモデルなどに見られます。

Cal.340 ── グランドプライズの自動巻き

Cal.340はグランドプライズ(Grand Prize)のオートマチックモデルに搭載された自動巻きキャリバーです。1959年から1961年にかけて製造されたモデルに見られ、ロンジンの自動巻き技術が成熟期を迎えた時代のムーブメントです。


1960〜70年代前半:コンクエスト・ウルトラクロンの時代

1960年代はロンジンにとってムーブメント開発の最盛期です。コンクエストのCal.291、ウルトラクロンのCal.431といった名機が誕生し、クロノメーター精度を追求したハイビートキャリバーが登場しました。

Cal.291 ── コンクエストの心臓部

Cal.291はコンクエストに搭載された自動巻きキャリバーで、1960年代後半を中心に多くのモデルに採用されました。GFケースに裏スケルトン仕様のモデルなど、コレクターに人気の高いモデルにこのキャリバーが搭載されています。コンクエストの中でも特に人気の世代にあたるムーブメントです。

Cal.431 ── ウルトラクロン 10振動ハイビート

Cal.431はロンジンのヴィンテージキャリバーの中でも最高峰に位置づけられる10振動(36,000振動/時)のハイビート自動巻きムーブメントです。ウルトラクロンに搭載され、クロノメーター認定を受けた高精度キャリバーとして知られています。1960年代から1970年代にかけて製造され、ラウンドケースや純正ブレス付きのモデルなど多彩なバリエーションが存在します。

Cal.285/Cal.30L ── 1960年代の手巻き

Cal.285は1960年代のモデルに搭載された手巻きキャリバーです。Cal.30Lは1960年代のラウンドケースにスモールセコンドのモデルに搭載されており、アイスブルーダイヤルとの組み合わせが確認されています。アーカイブ(製造証明書)付きの個体も存在します。

Cal.370 ── レクタンギュラーの手巻き

Cal.370は1967年から1968年製のレクタンギュラーモデルやラウンドケースに搭載された手巻きキャリバーです。ローマンダイヤルとの組み合わせのモデルや、10金張りケースにスモールセコンドの仕様のモデルに見られ、純正尾錠付きの個体も確認されています。


1970〜80年代:アドミラル・フラッグシップのキャリバー

1970年代に入ると、ロンジンはアドミラルやフラッグシップといったコレクションを展開し、新たなキャリバーを採用していきます。クォーツショックの時代にあっても、機械式ムーブメントの開発を続けた時期のキャリバーです。

Cal.6651 ── アドミラルの自動巻き

Cal.6651はアドミラルシリーズに広く搭載された自動巻きキャリバーです。アドミラル ダイバーのグリーンダイヤルモデルや、クロノメーター認定のオクタゴンケースモデルなど、多彩なモデルに採用されています。1970年代のロンジンを代表するキャリバーのひとつです。

Cal.6922/Cal.6952 ── フラッグシップとアドミラル

Cal.6922はフラッグシップの手巻きモデルに搭載されたキャリバーで、1970年代のブルーグレーダイヤルのモデルに見られます。Cal.6952はアドミラルの1972年製ミュンヘンオリンピックモデルに搭載されたキャリバーで、ブルーダイヤルとの組み合わせが特徴的です。トノーケースにブルーローマンダイヤルの組み合わせのモデルにも採用されており、ゼロハック機能を備えたハイビート手巻きキャリバーです。

Cal.428/Cal.322 ── 薄型手巻き

Cal.428はフラッグシップのメンズ スクエアケースやレクタンギュラーのブルーダイヤルモデルに搭載された薄型手巻きキャリバーです。1970年代のドレッシーなモデルに多く採用されています。Cal.322はセルジュ・マンゾンがデザインしたバックルウォッチの銀無垢モデルに搭載されており、1970年代のデザイナーズウォッチにふさわしい薄型設計です。

Cal.332 ── ダイバークロノグラフ

Cal.332は1969年製のダイバークロノグラフ「レガッタ」に搭載された手巻きクロノグラフキャリバーです。バルジュー72をベースとしたムーブメントで、回転ベゼルを備えたダイバーズクロノグラフという珍しい仕様のモデルに採用されています。

ロンジン ヴィンテージ 1970年代 アドミラル系

ロンジン ヴィンテージキャリバー 比較一覧表

主要なヴィンテージキャリバーの特徴を一覧で比較します。

キャリバータイプ年代代表搭載モデル
Cal.9L/9LT手巻き1940年代レクタンギュラー
Cal.10L手巻き1940年代トレタケ、ウィームス
Cal.12.68Z手巻き(スモールセコンド)1930〜50年代ブルズアイ、セクターダイヤル、トレタケ、スポーツチーフ
Cal.12.68N手巻き(センターセコンド)1940〜50年代セイタケ
Cal.13ZN手巻きクロノグラフ1941年クロノグラフ ステップベゼル
Cal.19AS/19ASD自動巻き1950年代オールガード、コンクエスト
Cal.22AS自動巻き1950年代ラウンドケース
Cal.291自動巻き1960年代コンクエスト
Cal.340自動巻き1959〜61年グランドプライズ
Cal.370手巻き1967〜68年レクタンギュラー、ラウンドケース
Cal.431自動巻き(10振動ハイビート)1960〜70年代ウルトラクロン
Cal.332手巻きクロノグラフ1969年ダイバークロノグラフ レガッタ
Cal.6651自動巻き1970年代アドミラル
Cal.6952手巻き(ハイビート)1970年代アドミラル、トノーケース
Cal.428手巻き(薄型)1970年代フラッグシップ、レクタンギュラー

よくある質問(FAQ)

Q.ロンジンのヴィンテージキャリバーで特に人気が高いのはどれですか?

A. 手巻きではCal.12.68Z(1930〜50年代)がセイタケやブルズアイなど多くの名モデルに搭載され、特に人気があります。自動巻きではCal.291(コンクエスト搭載)やCal.431(ウルトラクロン搭載・10振動ハイビート)が高く評価されています。

Q.ロンジンの「12.68Z」と「12.68N」の違いは何ですか?

A. どちらもロンジンを代表する手巻きキャリバーです。Cal.12.68Zはスモールセコンド仕様で1930〜50年代に幅広く使われました。Cal.12.68Nはセンターセコンド仕様で、セイタケなどのモデルに搭載されています。粒金メッキされた機械が美しいことでも知られています。

Q.ロンジンのウルトラクロンに搭載されているキャリバーは何ですか?

A. ウルトラクロンにはCal.431が搭載されています。10振動(36,000振動/時)のハイビートムーブメントで、クロノメーター認定を受けた高精度な自動巻きキャリバーです。1960〜70年代のロンジンを代表するムーブメントのひとつです。

Q.ロンジンのCal.291はどのモデルに搭載されていますか?

A. Cal.291は主にコンクエストに搭載された自動巻きキャリバーです。1960年代後半を中心に採用され、GF(金張り)ケースや裏スケルトン仕様のモデルにも見られます。コンクエストの中でも特に人気の高い世代のムーブメントです。

Q.ロンジンのヴィンテージウォッチを選ぶとき、キャリバーの違いはどう影響しますか?

A. キャリバーの違いは巻き上げ方式(手巻き・自動巻き)、振動数(ロービート・ハイビート)、秒針位置(スモールセコンド・センターセコンド)などに影響します。メンテナンス性や精度にも関わるため、キャリバーを知ることはヴィンテージロンジン選びの重要なポイントです。


まとめ

ロンジンのヴィンテージキャリバーは、1920年代のCal.11.84Nから1970年代のCal.6651まで、半世紀以上にわたる技術の進化を映し出しています。手巻きの名機Cal.12.68Z系、自動巻きの傑作Cal.291やCal.431、そしてクロノグラフのCal.13ZNやCal.332と、そのバリエーションは実に多彩です。

キャリバーを知ることで、ロンジンのヴィンテージウォッチの魅力はさらに深まります。搭載モデルとの関係を理解すれば、自分に合った一本を見つける手がかりにもなるでしょう。

■ 手巻きの代名詞 → Cal.12.68Z/12.68N(1930〜50年代・セイタケ/ブルズアイ/トレタケ)
■ 自動巻きの傑作 → Cal.291(コンクエスト)/Cal.340(グランドプライズ)
■ ハイビートの最高峰 → Cal.431(ウルトラクロン・10振動/36,000振動)
■ 1970年代を支えた名機 → Cal.6651/Cal.6952(アドミラル)/Cal.6922/Cal.428(フラッグシップ)
■ クロノグラフ → Cal.13ZN(1941年)/Cal.332(レガッタ・バルジュー72ベース)

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