セイコー ファースト(初代クロノグラフ)Cal.6138A・6139 解説

2026.04.13
最終更新日時:2026.04.13
Written by 編集部

1969年、セイコーは自動巻きクロノグラフを市販化しました。Cal.6139とCal.6138Aという2つのキャリバーを核に展開したこの初代クロノグラフシリーズは、セイコーの技術力を示す存在です。

半世紀以上が経過した現在も、Ref.6139-6000「ポーグ」やコークベゼル、ベビーパンダ、そして角目・UFO・ブルヘッドといった個性的なバリエーションは、ヴィンテージ時計コレクターから高い評価を受けています。

この記事では、Cal.6139とCal.6138Aの仕様の違い、代表的なRef.番号と文字盤バリエーションを解説します。

Cal.6139とCal.6138A:2つのキャリバーの違い

セイコー 初代クロノグラフ Cal.6139搭載モデル

Cal.6139:初代キャリバー

Cal.6139は、セイコーが市販化した自動巻きクロノグラフキャリバーです。

  • タイプ: 自動巻きクロノグラフ
  • レジスター: 1レジスター(6時位置・30分積算計)
  • : センターセコンド(クロノグラフ作動中のみ中央に秒針)
  • その他: デイデイト機能搭載
  • 手巻き機構: なし(自動巻きのみ)

Cal.6139は手巻き機構を持たない仕様です。なお、Cal.6139はマイナーバージョンとしてCal.6139A、Cal.6139Bが存在します。

Cal.6138A:発展型の2レジスタークロノグラフ

Cal.6138A(正式名称)はCal.6139の発展型として位置づけられ、より多機能な2レジスター仕様となっています。

  • タイプ: 自動巻きクロノグラフ
  • レジスター: 2レジスター(9時位置・30分積算計、3時位置・12時間積算計)
  • : スモールセコンド(通常時は6時位置のインダイヤルで秒表示)
  • その他: デイデイト機能搭載

Cal.6139とCal.6138Aの最も重要な違いは、積算計の数と秒針の位置です。Cal.6139はセンターセコンド(クロノグラフの使用中に中央の秒針が動く)ですが、Cal.6138Aはスモールセコンドの2レジスター式です。

また、Cal.6138Bというバリエーションも存在し、多くの後期モデルに搭載されています。

2つのキャリバーの比較

項目Cal.6139Cal.6138A
積算計1レジスター(30分)2レジスター(30分+12時間)
秒表示センターセコンドスモールセコンド
手巻きなしなし
デイデイトありあり

Cal.6139搭載モデル:代表的なRef.番号

Ref.6139-6000「ポーグ」:初代クロノグラフの象徴

Ref.6139-6000は、Cal.6139搭載モデルの中でも最も広く知られた存在です。1969年の発売当初から生産された初期モデルで、シルバーまたはホワイトダイヤルに黒のインダイヤルを組み合わせたシンプルなデザインです。ケースサイズは41mm(リューズ別)、ラグ幅19mmの仕様で展開されました。

「ポーグ」という愛称で広く知られているモデルです。

Ref.6139-6032:コークベゼル

Ref.6139-6032は、赤と黒に塗り分けられたベゼルを持つことから「コーク(コカ・コーラ)」の愛称で知られるモデルです。Cal.6139Aを搭載し、ケースサイズは41mm(リューズ別)、ラグ幅19mm。

Ref.6139-6002:ペプシベゼル

Ref.6139-6002は、赤と青のツートンベゼルを持つモデルで「ペプシベゼル」と呼ばれています。1970年代を通じて長期にわたって生産されたモデルのひとつで、ビビッドなカラーリングが特徴的です。

Ref.6139-8040・Ref.6139-8050:カラーダイヤルバリエーション

Ref.6139-8040はブルーグラデーションダイヤル、Ref.6139-8050はピーコックグリーンダイヤルと呼ばれる鮮やかな色使いのバリエーションです。1970年代のセイコーならではの大胆なカラーリングが特徴です。

Ref.6139-7060・Ref.6139-7100:フジツボ

Ref.6139-7060やRef.6139-7100は「フジツボ」と呼ばれるモデルで、独特の形状のケースが特徴です。Ref.6139-7101は「ヘルメット」とも呼ばれるバリエーションで、後期のCal.6139搭載モデルの中でもユニークな存在です。

Cal.6138A搭載モデル:代表的なRef.番号

セイコー Cal.6138A搭載クロノグラフ

Ref.6138-0040「ブルヘッド/茶馬」:スピードタイマーの象徴

Ref.6138-0040は、12時位置にプッシュボタンを配置した独特のレイアウトが特徴の「ブルヘッド」(雄牛の頭)デザインです。国内では「茶馬」の愛称でも知られています。Cal.6138Aを搭載し、ケースサイズは43mm、ラグ幅20mm。1970年代を通じて長期にわたって製造されたロングセラーモデルです。

12時側と6時側でベルトの太さが異なるという独自設計の純正ブレスレット仕様も、このモデルならではの特徴です。ブラウンとゴールドのカラーリングが代表的ですが、ブラック文字盤の「黒馬」バリエーションも存在します。

Ref.6138-0011・Ref.6138-0010「UFO」

Ref.6138-0011とRef.6138-0010は「UFO」と呼ばれる円盤型のケース形状が特徴のモデルです。Cal.6138Bを搭載し、ケースサイズは44mm。縦目の2レジスタークロノグラフで、デイデイト(日英表記、早送り機能付き)を装備します。Ref.6138-0010は1970年製の初期型、Ref.6138-0011は後継型にあたります。

Ref.6138-0030「角目」

Ref.6138-0030は、スクエア型のインダイヤルを持つ「角目」と呼ばれるモデルです。ケースサイズは40mm前後。ブルーダイヤルのバリエーションが特に人気が高く、大胆なデザインと鮮やかなカラーリングが1970年代のセイコーらしさを体現しています。

Ref.6138-0012・Ref.6138-0020:初期型丸目

Ref.6138-0012は1969年製の初期モデルで、黒文字盤に白インダイヤルの「逆パンダ」ダイヤルが特徴的な国外仕様のモデルです。Cal.6138Bを搭載し、ケースサイズは40mm(リューズ別)、ラグ幅19mm。英語・スペイン語表記のデイデイトとクイックチェンジ機能を備えます。Ref.6138-0020も同系統の初期型モデルです。

Ref.6138-8000「ベビーパンダ」

Ref.6138-8000は「ベビーパンダ」の愛称で知られる人気モデルです。Cal.6138Bを搭載し、シルバーダイヤルに黒インダイヤルの組み合わせが「パンダ」と評される文字盤です。ケースサイズは40mm(リューズ別)、ラグ幅19mm。デイデイト(日英表記、早送り機能付き)を装備し、国内外で広く展開されたモデルです。

文字盤バリエーションの整理

セイコー クロノグラフ 文字盤バリエーション

Cal.6139/6138A搭載モデルは、非常に多彩な文字盤バリエーションが存在します。

ベゼルによる分類

通称特徴代表Ref.
コーク赤×黒ベゼル6139-6032
ペプシ赤×青ベゼル6139-6002
ゴーストクリアベゼル(退色等)6139-6040等

文字盤カラーによる分類

  • シルバー/ホワイト: ポーグ(6139-6000)、ベビーパンダ(6138-8000、シルバー地)等
  • ブラック: 逆パンダ(6138-0012等)等
  • ブルーグラデーション: 6139-8040等
  • ピーコックグリーン: 6139-8050等
  • ブラウン: 茶馬(6138-0040)等

インダイヤルの形状による分類

  • 丸目(縦目): Cal.6139の1レジスタータイプ、Cal.6138Aの初期型等
  • 角目: Ref.6138-0030

コレクターの評価とオーバーホール

コレクター視点からの評価

セイコー初代自動巻きクロノグラフは、文字盤・ベゼル・ケースデザインのバリエーションの豊富さが魅力です。コーク、ペプシ、ポーグ、ベビーパンダ、ブルヘッド、UFO、角目など、各モデルが固有の愛称を持つほど個性的なデザインが展開されました。

オーバーホールについて

Cal.6139/6138Aはクロノグラフ機構を持つため、通常の3針時計と比べてオーバーホールの難易度が高くなります。クロノグラフの修理・オーバーホールに精通した時計師による整備が必要です。また、Cal.6139/6138Aは手巻き機構がないため、長期保管後に動作させる際は腕振り等による自動巻き上げから始める必要があります。

こんな方におすすめしたい――セイコー初代クロノグラフの楽しみ方

セイコーのクロノグラフを初めて手にする方

セイコー初代自動巻きクロノグラフには、Cal.6139(1レジスター・センターセコンド)とCal.6138A(2レジスター・スモールセコンド)という2つのキャリバー系統があります。まずは1レジスターのCal.6139搭載モデル、たとえばRef.6139-6000「ポーグ」やRef.6139-6002「ペプシベゼル」あたりから入ると、センターセコンド式のシンプルなクロノグラフ操作を通じてセイコークロノグラフの基本を体感できます。

ブルヘッドやUFOなど個性的なケースデザインに惹かれる方

Cal.6138A搭載モデルには、12時位置にプッシュボタンを配置したRef.6138-0040「ブルヘッド/茶馬」(43mm)や、円盤型ケースのRef.6138-0011/0010「UFO」(44mm)、スクエア型インダイヤルのRef.6138-0030「角目」など、1970年代ならではの大胆なデザインが揃っています。通常のクロノグラフにはない造形の個性を求める方にとって、選びがいのあるラインナップです。

ベゼルカラーや文字盤バリエーションを集めたい方

Cal.6139搭載モデルだけでも、赤×黒の「コーク」(Ref.6139-6032)、赤×青の「ペプシ」(Ref.6139-6002)、ブルーグラデーション(Ref.6139-8040)、ピーコックグリーン(Ref.6139-8050)と多彩なカラーバリエーションが存在します。Cal.6138A系でもシルバー×黒の「ベビーパンダ」(Ref.6138-8000)や黒文字盤の「逆パンダ」(Ref.6138-0012)など、文字盤の表情が豊かです。一つのキャリバー系統の中で異なるデザインを集める楽しみがあります。

1レジスターと2レジスターの違いを比較したい方

Cal.6139は6時位置に30分積算計を備えた1レジスター式、Cal.6138Aは9時位置に30分積算計・3時位置に12時間積算計を備えた2レジスター式です。秒表示もセンターセコンドとスモールセコンドで異なり、文字盤のレイアウトや操作感に明確な差があります。両キャリバーを並べて比較することで、セイコーが自動巻きクロノグラフをどう発展させたかを読み取ることができます。

よくある質問

Q: Cal.6139とCal.6138A、どちらが「初代」ですか?

A: Cal.6139が先に発表・市販化されたキャリバーです。Cal.6138Aはその発展型として後続しました。Cal.6139は1レジスターのセンターセコンド仕様、Cal.6138Aは2レジスターのスモールセコンド仕様という違いがあります。

Q: 「ポーグ」とは何ですか?

A: Ref.6139-6000の愛称で、コレクターの間で広く使われている通称です。

Q: Cal.6139とCal.6138Aはなぜ手巻きができないのですか?

A: Cal.6139/6138Aは設計上、手巻き機構を搭載していません。

Q: 「コーク」と「ペプシ」の違いは何ですか?

A: ベゼルのカラーリングの違いです。コークは赤と黒のツートンベゼル(Ref.6139-6032等)、ペプシは赤と青のツートンベゼル(Ref.6139-6002等)です。いずれもベゼルカラーが飲料ブランドのイメージカラーに重なることから愛称がついています。

Q: 「ブルヘッド」と「茶馬」は同じモデルですか?

A: はい、Ref.6138-0040の異なる愛称です。12時位置にプッシュボタンを配置したデザインを、海外では「ブルヘッド(雄牛の頭)」、国内では「茶馬」と呼ぶことが多いです。

まとめ

セイコーの初代自動巻きクロノグラフ(Cal.6139/Cal.6138A搭載モデル)は、1969年に市販化されたセイコーの自動巻きクロノグラフシリーズです。

Cal.6139(1レジスター・センターセコンド)とCal.6138A(2レジスター・スモールセコンド)という2つのキャリバーを基軸に、ポーグ、コーク、ペプシ、ベビーパンダ、ブルヘッド、UFO、角目といった多彩なモデルが展開されました。これらのモデルは今日もヴィンテージクロノグラフの代表格として高い評価を受けています。

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